::波紋ダイエットやばい


 もう何回目になるんだろう、この女子同士の集まりは。
 そんなことを考えながら、今に至るまでを思い返してみる。
 今回はいつもと趣向を変えて、カフェやご飯屋さんではなくて。
 とある町の複合娯楽施設…いわゆるボーリング場やそれに付随するカラオケなんかがある、そんなビルにいる。
 さっきボーリングを終わらせて(ちなみに皆さんスコアは良かった)(流石だ。と呟いたらランさんに半眼で睨まれた。どういうことだ)、現在はカラオケで好き勝手にしている。うん、好き勝手しているのを眺めている。
 ノリノリで歌っているのは綯子さんとか、伊緒さんなんかの若い子たち。
 適当に頼んだご飯物を頬ばりながら楽しそうに見ているのは要さんで、ノエルさんは気まぐれにビーさんを巻き込みながら曲を入れたりして。
 本当にそれぞれが好きなように楽しんでいるようだ。

 「いえーい!」

 それにしても合いの手上手いな碧さん。
 そんなことを考えながらもそもそとポテトを摘んでいれば、ふっと
 立ち上がって要さんと綯子さんが流れてる曲に合わせて踊りだす。
 可愛い。なにあの子たち可愛い。
 普段見ているものがものだからか、女子会に毎回癒されてる…。
 それにしても、スタイルいいなあ。
 ほっそりしてる子、普通にモデル体型の人にグラマラスな人。
 半分は日本人、というか東洋の血が入っているというのに、それを感じさせないスタイルの人が多い。
 これが遺伝子のイタズラってやつなのだろうか。
 …それとも、若さなのか。

 「…若いっていいなあ」

 「何言ってるのナマエ…」

 私の言葉を聴いたノエルさんが苦笑している。
 いや、言っても多分私あなたより年上だしなあ…。

 「っていうか、さっきからどこ見てるんだい」

 「いや、皆スタイルいいなと」

 「…それは確かに…」

 相槌を打つノエルさんも十分スタイルいいけどね。
 思いながら指についた塩を舐めた。

 「綯子さんとか要さんスレンダーすぎてご飯食べてほしい」

 「ちょっと分かるな…」

 「あの二人、食べてない訳じゃないんだけどね」

 ランさんが呆れたみたいに呟く。確かに食べてない訳じゃないんだ。
 でも、なんだろう。ご飯食べてほしい。

 「ビーも細いよね」

 少し溶けかけたポッキーを食べながら、碧さんが言う。
 あなたもご飯食べてほしい。個人的には。

 「…まあ、あの三人は戦い方もあるんじゃない?」

 「戦い方?」

 そう、と肯定しながらランさんは冷めかけた唐揚げをつまむ。

 「熊ちゃんは暗器っていうか、肉体派じゃん?
 綯子と要はスタンドもあるけどさ、波紋だっけ?あれも使うし」

 「ああ…なるほど?」

 「つまり運動の仕方の違い、みたいなことをランは言いたいのかな」

 その仮説が正しいとしたら、波紋のダイエット効果すさまじい。
 波紋ダイエットやばい。
 そんなことを一人考えていれば、ランさんはふんと鼻を鳴らした。

 「まあザックリ言うとね。私は痩せてようがなんだろうが気にしないけど」

 見てくれなんかどうでもいいよ、と言いたげに彼女はジンジャーエールに口をつけた。
 それはスタイルが良いから言えるんじゃないか…?
 なんて考えていれば、碧さんが口を少し尖らせて言う。

 「でもやっぱりスタイルは良い方がよくない?」

 「わかる!」

 「わっ」

 勢い込んで伊緒さんが会話に参加する。
 どうやらカラオケがひと段落したところに、会話を聞いたらしい。

 「別に伊緒太ってないじゃん」

 「違うの太ってるとかじゃなくてさ、こう、気分的に?」

 「そうそう!スタイル良い方が着れる服の幅広がるもんねー」

 わかるわかる!とばかりに碧さんが頷く。
 その感覚は多分学生時代に顕著だよね…なんでだか知らないけど。

 「で、お三方的にはどうなんだい?」

 ノエルさんが三人に話題を振れば、返ってくる反応は三者三様。

 下らないと言いたげなビーさんは「さぁ」とだけ言ってアイスを口に運んでいるし、綯子さんは複雑そうに頬を掻いて「どーなんだろ…」と眼を泳がせている。要さんも少しだけ眉間に皺を寄せて考え込んでいるし。

 「…言いづらい感じ?」

 「ううん、そういうんじゃなくて…ねえ?」

 『結構、身に着けるまでが大変といいますか』

 「なんと」

 「過酷な修行と聞いています。…そもそもそれをダイエットに使おうというのが…」

 ビーさんの冷たい視線。

 「いやでも、女の子にとってスタイルっていうのは大切だからね」

 「わからなくないけど、皆そこまで太ってないじゃん」

 『むしろスタイル良いじゃないですか…!』

 「うん、それ君らが言ってもね?」

 なんて話している間にも、お菓子やジュースは減っていく。
 ジンジャーエールを飲み干したランさんが部屋を出たのをきっかけに、ダイエットの話題は消えていった。

 「…で、ナマエは何を歌うの?」

 「いや、歌わないよ」

 「でもカラオケっていいダイエットになるよね」

 「カロリー消費激しいしね、曲によっては」

 別に私、体重を減らしたい訳じゃなくて体を絞りたいだけなんだけどなあ…。
 そんなことを思いながら、リモコンを操作してお菓子の盛り合わせを注文した。
 まあ、食べれるときに食べてもらおう。
 私もおなか減ったし。
 ダイエットは明日からで十分だ、なんてね。




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なんだかお題から外れている気がする上に、自分の思いだけを詰め込みすぎてしまった気がします…。
本当に皆様の夢主さんが可愛らしくて仕方ないのですが、表現し切れなかった感じがします…。
この度はありがとうございました。