『緊急声明:平間みなの(イール)の創作ポリシーについて』

※pixivにも同じものを載せています。

この度、僕の創作物に対して、次のような意見が寄せられました。

「男性は男性らしく、女性は女性らしく表現すべきである」

僕の作品を読んだ人が、どのような感想を抱こうか、その辺りは自由だと思います。
僕は創作物を通じて、特定の思想や考え方を相手に押しつけるつもりは毛頭ございません。

しかし、この意見を聞いて、僕は急遽、この文章を書くことを決断しました。
僕の創作に対する態度を明らかにせずに、この先の創作活動を続けることが、僕の精神的に、あるいは社会的に困難であると判断したためです。

まず、僕のセクシャリティを公表します。
セクシャリティが、自分の創作意欲や、その創作物に大きく関わっているためです。

僕は「無性別者」です。
男性でも女性でもない、「Xジェンダー」という性別の概念がありますが、
そのうちの「無性」という性別でもありません。
僕には「性別」という概念そのものが存在しません。
あるいは、「性別」から逸脱したところにいる、という表現もできます。

また、どんな人を好きになるか、ということについては、
僕は「全性愛者(パンセクシュアル)」です。
誰かを愛するのに、その人の性別や、性指向はまったく関係ない、という立場です。

それを踏まえた上で、僕の創作ポリシーの一つ目と二つ目は、
『「性別」という概念にとらわれない表現をすること』と、
『性的少数者に焦点を当てる場面も書くこと』です。

僕は生物学上女性ですが、
「女性らしさ」に馴染むことができず、
かといって「男性らしさ」にも違和感を感じ、
今「性別」から逸脱したところにいます。

そのため、僕は「女性らしさ」「男性らしさ」を肯定もせず、否定もしません。
また、異性を好きになる人と、同性愛者やその他の性指向を持つ人を平等に扱います。
それは、僕の創作物の中に、
乱暴と感じられるような話し方をする女性キャラクターがいたり、
可愛らしい字を書く男性キャラクターがいたり、
性別を明らかにしないでいる人物がいたり、
あるいは、トランスジェンダーや同性愛者、男でも女でもない/ある人物がいたりするところに反映されていると思います。

もちろん、「自分は女性/男性らしくありたい」「異性愛者である」という人を否定するものではありません。
僕の作品の中にも、そのような人物はいます。
しかし、僕は、そのような性別に縛られた「らしさ」を前面に押し出すような表現は積極的にはしませんし、
「異性愛が絶対的に正しい」という表現はまずしません。
そこに性的少数者が同じ世界の中にいる、ということは、あえて積極的に表現するし、
これからもしていきたいと考えています。


三つ目は、
『僕は僕の表現したいものを書くのであって、
自分の考え方を抑えたり曲げたりしてまで、
時代や世間に迎合するような作品を書くつもりはない』
ということです。

僕はあくまで、「自分が言葉で表現したいものがあるから」、
小説を中心とした創作活動を行っています。
あるいは、「自分が自分であることを証明するため」、
「自分自身の精神を保つため」ともいえます。
僕から小説を取り上げると、それは僕自身の否定、さしては崩壊も同然です。
オフで本も出していますが、
「アマチュアでもいいから、作品を本にしてみたい」という夢の現実化に過ぎず、
人気取りやお金のために書いているのではありません。

そのため、ネットでたくさんのアクセスを集めたり、
世間や商業小説で人気の、
受け入れられやすいような創作物を意図的に生み出すつもりはありません。
それは例えば、ネット小説であれば、長く仰々しいタイトルの派手な異世界トリップものや、過激な性描写が続くような恋愛小説。
世間的なそれでは、男性らしい男性と、女性らしい女性らによる、複雑な恋愛関係の描写や、純文学よりもエンタメよりの文体やストーリー。

それらは、僕の作風や、前述のようなセクシャリティなどからくる考え方に合いません。
それらを書くことは、不可能ではありませんが、
自分を曲げて、無理して書き上げたとしても、
どうしても「自分らしくない作品である」と思わざるを得ないのが、
目に見えています。
それがネットや商業的に認められたとしても、僕自身が満足していなければ、
それはかえってストレスになるだけです。
そのような気持ちになるぐらいなら、最初から書かない方がよっぽど精神的に安全です。

同様の理由で、商業作家もこちらから能動的に目指すことをやめました。
親の仕事の関係で、親の知り合いに出版関係の人が何人かいるので、
親が子供自慢のために、僕の本をその人達に渡しているようですが、彼らは
「商業作家なら、利益の出る作品をずっと書き続けなければならない」
「商業作家を目指すなら、(「イール」名義の)鉄道擬人化創作をやめて、
(上記のような)売れるような小説を書く練習に専念しなさい」
と言っていると聞きました。
冒頭の意見も、その一つです。
それらに従うことは、明らかに、このポリシーに反します。
(それでも僕をスカウトする気がある人が現れれば、話を聞く用意はありますが)

人間、嫌なことをやらなければならないことの方が多い、と世間では言います。
仕事や家事を、好きこのんでやるような人が、世の中にどれだけいるでしょうか。
それは僕も否定しません。
否定しませんが、その論理を精神の安定のための活動にまで持ち込むのは違うと思います。
自分が嫌だと思うようなことを、
自分のリラックスや精神の安定のためにする人がいますか?


僕はあくまで、僕の表現したいことを、その創作物にこめていくだけです。
僕にとっての創作は、それ以上でもそれ以下でもありません。
たった一人でも、僕の作品が「好きだ」という人にだけ、
届けばいいのです。

それらを踏まえた上で、僕の作品をお楽しみいただけると幸いです。



2018年12月28日

平間みなの(イール)
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