2013/06/16〜2013/06/22

6/16

彼女は星が好きだった。
「あれがポラリスで、その隣が北斗七星。右側のあれがベガで、左のあれがレグルス」
夏の始めのある日、星の名前すらほとんど分からない僕に、新しい世界を見せてくれた。
あれから数十年。
僕は彼女の行方を知らない。
彼女は今、同じ空を見ているのだろうか。


6/17

■夜の路地裏。
目の前には全身黒ずくめの彼女。
最初は普通の女の子かと思っていたが、実は裏組織の令嬢だった。
付き合いを続けるには俺も組織に入らなければならない。
ー彼女が手を差し出してくる。
「この手を握れば、こっちへようこそ。振り払ったら、僕とバイバイ。


6/18

■さあ、どうする?」
俺は悩んだ。
彼女に命を捧げるか。
平和を選んで彼女を捨てるか。
一度深呼吸して、自分に問いかける。
すると、心の、いや、身体の奥から、声が響いてきた。
『君は彼女の愛なしで、表の世界で生き抜く自信はあるのか?』
正直に言って、自信はなかった。


6/19

■それほどまでに、彼女に依存していたことに、今更気付いた。
俺は右手で彼女の手を握った。
「本当にいいの?」
「いい。俺はやっと分かったんだ。君なしじゃやっていけないって」
「…そっか。じゃあ、早速儀式をしよう。左手を出して、目を閉じて」
俺がその通りにした次の瞬間、


6/20

■左手に痛みが走った。
「…っ!」
俺は思わず目を開けた。
左手を見ると、手の甲から血が流れ出ていた。
「動くな」
彼女は紙に俺の血を滲ませ、俺にガーゼを渡した。
「それで止血しとけ」
傷口にガーゼを当てると同時に、彼女は自分に俺にしたのと同じことをした。


6/21

■そして、二人分の血が滲んだ紙を、ライターで燃やした。
「これで終わりだ。ようこそ、こっちの世界へ」
彼女が笑い、俺も笑顔になった。
けど、それはもう、一線を越えた笑いだった。
「あ、そうだ」
彼女が何か思い出したように言う。
刹那、柔らかいモノが首筋に触れた。

(完)
※首筋へのキス=執着


6/22

□目を覚ますと、腹の上で三毛猫が寝ていた。
「…え、何で?」
僕の家では猫を飼っていないし、寝室のドアや窓は閉め切っている。
一体どこから入ってきたのだろうか?
猫には悪いと思いつつ、僕は身を起こして猫を起こした。
猫は大きく欠伸をして、その四本足で立ち上がった。

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