2013/06/23〜2013/06/29
6/23
□猫は僕の目を見つめて、一声「にゃあ」と鳴いた。
「ん? どうした?」
僕が声をかけると、猫はベッドから飛び降りて、閉じられたカーテンを叩いた。
僕もベッドから降りて、カーテンを開けた。
そこには、僕が全くもって予想していなかった、衝撃の光景が広がっていた。
6/24
□街並は変わっていない。
しかし、通りに人はいない。
歩いていたのは、全て猫だったのだ!
「なあ、君。これはどういうことだ?」
返事なんて返って来ないと分かっていながらも、猫にそう尋ねた。
猫は首を傾げただけだった。
「そうだよな…」
僕は途方に暮れた。
6/25
□この先、どうすればいいのだろうか…?
出そうにない答えを探していると、枕元に置いていたケータイが鳴った。
電話の着信音だ。
かけてきたのはボーイッシュな女友達。
すぐにそれに出た。
「もしもし。今取り込み中なんだけど」
『それはこっちもだ。それより、外の様子は見たか?』
6/26
□「見た。外が猫だらけになってる。それでさっき『取り込み中』って言ったんだ。まさかそっちも?」
『ああ。これはヤバいと思って、さっきから知り合いに電話してるんだけど、何人か連絡が取れない人がいてさ。そこで、提案があるんだ』
「提案?」
『うん。とりあえず、無事な人
6/27
□集めて、状況を整理しようと思うんだ。だから、ウチに来てくれないか? 』
断る理由はなかった。
僕は承諾して、彼女の家に向かった。
家の中に猫がいたら連れて来いとも言われたので、三毛猫を自転車のカゴに入れた。
暴れるかと思ったが、カゴに入るとすぐに眠ってしまった。
6/28
□通りを闊歩する猫を避け、段差を慎重に越え、やっと彼女の家に着いた。
家に入ると、見慣れた顔とたくさんの猫がリビングで待っていた。
「おお、谷本じゃないか!」
その中の一人が、僕の名前を呼んで寄ってきた。
腕には黒猫を抱えていた。
「まあ、再会の喜びは後にすることにして。
6/29
□二人とも座らないか?」
彼女に促され、僕達はソファに座った。
「少し調べてみたんだけど、どうやら世界がバグを起こしたらしくてな」
「ええっ!?」
その場にいた全員が、驚きの声をあげた。
びっくりした猫は、友人らの腕から飛び出していった。
「そこでだ。君達の力を借りて……」
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