2013/06/30〜2013/07/06
6/30
□その続きは覚えていない。
気付けば、僕はベッドの上にいた。
腹の上に猫はいない。
カーテンを開けると、歩いているのは人間ばかり。
彼女からの電話も掛かってこない。
どうやら、さっきのは夢だったらしい。
朝食を買いに外に出ると、猫がいた。
そして、一声「にゃあ」と鳴いた。
7/1
クラスに不思議な子がいた。
その子はクラゲが好きだった。
「クラゲは『海月』って書くよね。ロマンチックじゃない?」
彼女はまさに、ふわふわ漂うクラゲのような子、だった。
数年後、彼女に会う機会があった。
「今何してる?」
「クラゲ」
「え?」
「猛毒クラゲをやってるんだ」
7/2
空飛ぶ絨毯が、人間の手で発明された。
「信号も踏切も即パス!」の謳い文句で売り出された。
価格はよくある自動車の2倍。
だが飛ぶように売れる。
「空を自由に飛ぶ」という人類の夢を実現したからだ。
ところが数年後、空に絨毯はなかった。
空中での衝突事故で犠牲者が相次いだのだ。
7/3
家に帰ると、玄関に段ボール箱が置いてあった。
そっと箱を開けてみると、白猫がつぶらな瞳をこちらに向けていた。
「か、可愛い…」
思わず写真を撮ると、奥から声が。
「そうやって写真を撮る君の方が可愛いよ」
「え」
僕の恋人だった。
合鍵で入ったらしい。
猫は彼女の愛猫だった。
7/4
▽春。色白の転校生がやってきた。
「初めまして。山崎大地といいます。よろしくお願いします」
山崎。
昔、そんな名前でこんな感じの人と会ったような…。
休み時間に話しかけてみた。
「俺、原田っていうんだけど、前にどこかで…」
「原田? …あ、もしかしてあの時の…」
7/5
▽実はその昔、俺はデパートで迷子になったことがある。
その時に手を差し伸べてくれたのが、山崎大地という名前の人だった。
「覚えてる?」
「覚えてるさ。広い雑貨屋さんで泣いてるまだ小さい子がいて、名前を聞いたら、下の名前は忘れたけど上は『原田』って言ってて。
7/6
▽それで、デパートの中だったから、デパートの案内所に一緒に行って、親が来るまでいっぱい話して、笑顔で別れて。そしたら今度はオレが迷子扱いされたけど」
大地は笑って話す。
「でもびっくりしたなあ。まさか同い年だったなんて」
当時、大地の方がしっかりしていたので、
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