2013/03/03〜2013/03/09


※★は続きもの


3/3

★喉が渇いて目が覚めた。
自販機で適当にお茶を買い、席に戻った。
ペットボトルの蓋に手を掛けたその瞬間、事件は起きた。
「実はさ、僕、好きな人が居るんだ」
隣からそんな台詞が聞こえてきた。
びっくりして、ペットボトルを落としかけた。
が、その瞼は閉じられたままだった。
俺は言葉の続きを待った。


3/4

★「え、誰かって? …教えてやってもいい。でも、他には内緒だ」
俺は全神経を彼女に集中させた。
そして彼女は言った。
「…R君だよ」
俺は心臓が飛び出るかと思った。
Rというのは俺の下の名前だが、彼女が人を下の名前で呼ぶのは、その人を本当に信用している時だけだ。


3/5

★なのに、夢の中ではあるが、俺のことを下の名前で呼んでいる。
――これはまさか、と思っていると、彼女が目を開いた。
俺は何事もなかったかのように構えた。
「……」
それからしばらく、彼女はボーッとしていたが、ある時、静かに、けれど俺には聞こえるように言った。
「R君、だな」
「気付いてたか」


3/6

★「とっくに。てかお前、変わってねーな」
ああ、そうか、こいつは話し方が男っぽい奴だった。
「まあな。でもそういう君こそ、中身も見た目も変わってないじゃないか。背丈もそうだし」
「最後の一言、そのまま返すよ」
「!?」
因みに俺の身長は165だ。
「…ま、まあ、そのことは置いといて。


3/7

★君も同窓会?」
「うん。僕も長い間帰ってないからね。…」
それから俺達は、たわいない事を話した。
その中で、俺はどうしても彼女に聞いておきたいある事を思い出した。
「そういえば、ずっと聞きたいと思っていたことがあるんやけど」
「聞きたいこと? 何でも聞いていいぞ」


3/8

★「…あのさ、何でいつもズボンを履いて学校に来よったん?」
俺達が出た高校では、女子の制服はズボンとスカートのどちらかを選べるようになっていたが、3年間ずっとズボンだったのは彼女だけだった。
体育時も年中長ズボンだった。
現に今も下はジーンズだ。
「ああ、それか…どうしても知りたいか?」


3/9

★「知りたい」
「なら、教えてあげよう。一度だけだそ?」
すると彼女は、周りの様子を見てから、ジーンズの右足側を捲り上げた。
「これが理由だ」
そこには、膝下から足首の手前まで、一本の赤黒い線、否、古傷が走っていた。
「お前、それって……」
「……実は、中学生の時に、事故に遭ったんだよ」

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