2013/03/10〜2013/03/16


※★印は続きもの


3/10

★彼女の話によると、中2の時に車にはねられたらしい。
この傷以外の大ケガがなかったのが奇跡だったそうだ。
けれど、当時彼女はいじめられていて、ケガをきっかけにいじめがエスカレートした。
だから、自己防衛のために傷を隠すようになった。
「まさか、この傷を再び人に見せることになるとはな」


3/11

★「何で俺には見せたの?」
「さあ、何でだろ。僕の中の何かが、その気にさせたのかもしれないし、それ以外の理由かもしれない」
また回りくどい答えだ。
「つまり、どういうこと?」
「自分でも分からない、ってことさ。――まあ、思い当たる理由が全くない訳ではないけどね」
「それって……」


3/12

★「例えば、大切にしたい人、とか」
「……え?」
「自分にとって特別な存在だから、秘密だって打ち明ける。自分だけの秘密を、自分と相手だけの秘密にする。――もしかしたら、そうしたくて傷を君に見せたのかもね」
しばらくして、彼女は目を閉じた。
俺は彼女の言葉の意味を考えた。
考えて、考えて……


3/13

★そして、一つの仮説に辿りついた。
「彼女は俺のことが好きなのかもしれない」
その考えが脳内に広がった瞬間、俺は一気に自分の心臓の鼓動が速くなるのを感じた。『実はさ、僕、好きな人が居るんだ』
『…R君だよ』
彼女の寝言がリフレインする。
俺はそこに居るのが耐えられなくなって、席を立った。


3/14

★それからのことは、正直に言ってよく覚えていない。
気付いたらもう次は乗り換え駅だった。
新幹線を降りて、次の列車のホームに向かおうとした時、彼女に呼び止められた。
そして、一枚の折りたたんだ紙切れを渡してきた。
「僕が去ってから開いてくれ。そこに、今僕が一番伝えたいことが書いてある。


3/15

★もし、君も同じことを僕に伝えたいと思っているのならば、僕のところに来て欲しい。同窓会の次の日の夜、9時から12時までの間、港の灯台のところで待ってるから」
彼女はそう言うと、ちょっとこの辺りに用があると言って、人ごみの中に消えていった。
俺は列車のホームに上がり、紙切れを開いた。


3/16

★そこには、綺麗な筆記体で、三つの英単語とピリオドが並べられていた。
「I love you.」
俺はその文字を脳裏に刻みつけて、紙切れをポケットにしまった。
同窓会は大いに盛り上がった。
久しぶりの友人との時間は、あっという間に過ぎていった。
その次の日の夜、俺は港に向かった。

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