2013/04/14〜2013/04/20
4/14
「もしも家族の誰かが殺されたならば?」
料理人は答えました。
「毒料理を振る舞うよ。犯人を店に招いて、注文した料理にトリカブトの毒を混ぜる。食べて数十秒で心臓が止まってあの世行きさ。トリカブトは日本にも自生してるからね……」
4/15
学校の授業中、右隣の奴が寝ていた。
普段きちんとしている人なのに珍しいな、と思っていると、左の奴も寝ていた。
こいつは常習犯だ。
気付くと、前の席の奴も船を漕いでいる。
まさかと思って後ろを振り向くと、こいつも寝ていた。
4人とも先生が叩き起こした。
4/16
余命2ヶ月の友人に会いにいった。
そこでUSBメモリーを託された。
「これは?」
「パンドラの箱だ。パスワードは『dream』だ」
帰ってから、早速それをパソコンに繋いだ。
そこに並んでいたフォルダの名はーなんと、僕の好きな作家の作品名だった。
数週間後、彼女は亡くなった。
4/17
彼女は左腕に傷がある。
俺は右腕に傷がある。
彼女は俺の傷に惚れたらしい。
俺も彼女の傷に惚れてしまった。
「好きだよ」
「俺も」
傷と傷とを重ね合わせ、愛の言葉を囁く。
だけど、この愛は決して許されない。
何故なら、俺達は生き別れて再び出会った、血の繋がった双子なのだ――
4/18
雨が降っている。
隣の友人が言った。
「飴が降ったらいいのに。街中がロリポップで埋め付くされたら、もうそこは天国だよ」
しかし、僕にとっては地獄である。
僕は飴が嫌いなのだ。
4/19
ガラガラの電車に乗った。
次の駅で、同じクラスの女子が乗ってきた。
彼女は俺の隣に座った。
俺は本を読み、彼女はイヤホーンで音楽を聞く。
そこに会話はない。
気付くと、彼女が俺に寄り掛かって寝ていた。
俺は寝顔を写真に撮り、傷のある額にキスを落とした。
4/20
「もしも死ぬ場所を自由に選べたならば?」
シャイボーイは答えました。
「海の底に沈みたい。だって、生き物って海から来たんだろ? だから死ぬ時は海に還りたいんだ」
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