2013/05/05〜2013/05/11


5/5

丘の上に刺さっている一本の剣。
それは彼女の墓標。
彼女は生前、この国のために戦った。
彼女は英雄となり、国民の祝福を受けた。
彼女が亡くなった時、全ての民が彼女の死に涙を流した。
――あれから数十年、剣の前に佇むのはただ一人。
「愛してるよ」
それは彼女が唯一愛した男。


5/6

朝、学校に来る。
今日は一日テストだ。
友と挨拶を交わす。
教室に入る。
テストの準備をする。
テストが始まる。
しかし、ここで違和感に気付く。
空席が2つある。
一人はその理由を知っている。
けどもう一人は?
…昼休みにそいつにメールを送った。
「今ので目が覚めた」
ダメだこいつ。


5/7

「ねえ君、今好きな人っている?」
不意に、女が男に言った。
「今? 一応いるけど」
「その相手は学生時代と変わらずか?」
「まあね」
「なら、一緒に逃げないか」
「……え?」
「愛の逃避行だ。ただし一夜だけ。夜が開けたら、この身体は他人のもの。その前に、君と最後の夢を見たい」


5/8

深夜、ソファーで寄り添う一組の男女。
「家にいるのもいいよね」
女が言う。
「そうだな。やっぱり二人っきりの方がいいな」
やがて、時計が翌日の訪れを告げた。
「そろそろ寝るか」
「いいよ。でもその前に」
女は背伸びして、男の唇にキスを落とした。
「誕生日、おめでとう」


5/9

「二人の人を同時に好きになることって、どう思う?」
少年は少女に尋ねた。
「いいと思うよ。好きな人なんて、いくらでも居ていい。不倫しても、僕は許す。だって、自分もするだろうし、現に今してるからね」
「え、今の彼氏以外に好きな人いるの?」
「いるよ」
「誰?」
「君だよ」


5/10

チャイムが鳴った。
すると、一人の男が窓際の人に何か言った。
しかし、窓際の人は寝ていて気付かない。
先生の足音が近づく。
ついに男は、席を立ってカーテンを閉めた。
男が席に着いた瞬間、先生が入ってきた。
「何があったのさ」
「窓の結露に【自主規制】な落書きをしてたんだ」


5/11

君は夜寝る時に「もう目が覚めないかもしれない」と考えたことがあるだろうか。
生きるものは皆、いつその命を落とすか分からない。
起きたらそこは天国だった、という可能性は0ではない。
だから僕は毎晩、天の星々に挨拶をする。
「おやすみ」
一日後にまた会えるよう、願いを込めて。

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