23(R18)


 腕を後ろに回してから、ローションのキャップを開け、手に垂らして、その熱い孔(あな)へ。昨日、すっかり学習してしまった、翔のいいところを刺激すると、その身体が震えた。
「あっ……」
「痛い?」
「気持ちいい……もっと……んっ」
「変態だね、まだ慣らしている段階なのに」
「へんたいで、わるかったな……あっ」
 ああ、可愛い、ほんっとうに、可愛い。素面(しらふ)でも十分可愛いけれど、酔いが回ると、それが何倍にもなる。僕より少し高いところにあるその顔は、「早くしろ」とせがんでいるようで。
 手を抜いて、ゴムの上から自分のそれにもローションを塗りたくると、翔が腰を上げた。そして、徐々に腰を下ろして、僕のそれが、熱い粘膜に飲み込まれていく。
「ん、あっ……はあっ……」
「大丈夫?」
「はい、った……んっ」
 その上気しきった顔が、表情が、美しくて、ひどく、愛おしい。
 しかし、これからどうしようか。狭い車内で、この体勢、僕が突き上げるのは難しい。翔の頭が天井にぶつかってしまう。
「……どうするの」
 それは、翔も分かっているだろう。ここまでは、お互いに求め合うままやってきたけれど、この先は聞かないと。
「このままで、いい……」
 返ってきた返事は、半分、予想の範囲内で。
「動かさなくて、いいの?」
「いい……しばらく、こうさせてくれ……」
 そう言って、僕を抱き締めた。
「んっ……」
 その動作でも、下は感じるらしい。そこも可愛いなと思いつつ、僕も抱き締め返す。
 僕も翔も、上は一切脱いでいない。だから、上体を直接触れ合わせて、熱を感じることはできない。
 でも、下は素っ裸。しかも、繋がって、一つになっている。上体では服に阻まれている熱も、そこではしっかり感じられる。熱い、熱い、その温度を。
 ああ、そこだけではない。耳元にかかる吐息も熱い。それも、僕の腰にじんわりと響く。
 そして、ここは暗がりで、日除けで外から中は見えなくなっているとはいえ、車が行き交うパーキングエリアの車内。そういう場所で、という罪悪感は、かえってスパイスとなる。
――案外、こういうのも。
 感じたり、絶頂に達するだけがセックスではない、と、いつか読んだゲイ雑誌に書いてあった気がする。ゆっくりと、カラダを密着させて、触れ合わせて、お互いの熱や鼓動を感じて、心を通わせて。今のは、まさにそうと言えるだろうか。
 しばらく、何も言わずにいると、翔が少し身じろいだ。かと思うと、彼の片腕が動いて、吐息がかかっていた、僕の左耳辺りに触れた。
 何をするつもりだろうか。敢(あ)えて何も聞かずにいると、ざらり、としたものが、耳に触れた。その感触も快感として拾われ、腰に落ちていく。
「んっ……」
「気持ち、いいか」
 その、吐息混じりの掠れ声も、脳に心地よく響く。
「うん……あ……っ」
 今までのセックスで、耳は触られたことがないと思うのに、どうしてか、翔にされている、というだけで意識してしまう。舌で舐められているのだろう、ぴちゃ、ぴちゃと、卑猥な音が直に注ぎ込まれる。
「あ、ん……ひあっ……」
 ここも、弱いのかな、僕。やたら気持ちよくて、腰が動いて、変な声が聞こえた気がするけれど、声を抑えられない。
「んっ……ここか」
「あっ、あっ……はあっ、んんっ……」
 耳元だけではなくて、下の方もきつく締められる。
――この人、そうとう……
 でも、やられてばかりではいられない。右手で、翔のいいところを探り当てる。
「あっ! あ、やめっ……ああっ……」
 耳元の愛撫が止まる。でも、まだ口元はそこにあるから、女の子みたいな嬌声が、直に注がれて腰に響く。
「うん、やっぱり、その可愛い声、好きだよ……」
 今度は、彼の耳に、僕の甘い台詞を吹き込む。その声で、その身体が、微かに震えるのを僕は逃さない。
「るっせえ……んっ」
「んんっ」
 唇を塞がれて、ねっとりとそれを合わせて、舌を僕の方に入れてくる。ゆっくりと、ゆっくりと、じんわり、融かされていく――
「んっ……ん……んんっ!?」
 今までに感じたことのない刺激。え、どこ?
「……いいだろ? ここ、服の上から触ってもいいんだよ」
「え、やばいっ、あっ、あんっ……ああっ!」
 乳首、らしい。しかも、また、耳も。でも、僕も、翔のはち切れそうなそこに触る。
「あっ、やあっ……あ、ん、いく……っ」
 そう言われて、僕も射精感に襲われる。それも、なんだか、今までと違うような――
「いっしょ、に……っ」
 どちらからともなく、唇を合わせて、それから――


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