22(R18)


 僕は翔の腰を、さりげなく抱えながら歩いた。エレベーターで車のある階まで一気に降りて、赤い車に向かう。中には誰もいない、妹夫婦はまだ戻ってきていないらしい。
 鍵に付いているボタンを押して解錠する。後部座席、翔がするりと乗り込んで、どこからかタオルを引っ張り出して、座席の上に敷いた。それから、前の座席の後ろのポケットから日除けを出して、窓に貼り付けた。
「……これ、そっちにやれ」
 僕がその後に入って、後ろ手にドアを閉めて、日除けを反対側の窓にも。座席の後ろ、荷台部分の上の棚に、ティッシュがあるのを確認した。
――なるほど、酔うとかなり積極的になるタイプか。
 食事を終える頃から、その微光を僕は感じ取っていた。その目が、酔いによるもの以上に、濡れている気がしたから。
 お互いにトイレを済ませたところで、彼を見ると、どこかセンチメンタルになっているような感じがした。どこに行こうか、と尋ねることなく手を繋ぎ、引っ張ると付いてくる。その時点で、期待してそうだ、と、疑いが確信に近くなった。
 そして、ディープキスを拒まなかった。お互いの、その下が固くなり始めているのにも、僕は気付いていた。
 暗い車内、翔の方から抱きついてくる。再び深い口づけをしながら、改めて確かめようと下に少し触れると、「んっ」と声を漏らしながら、その腕の力を強くしてくる。
 服を脱ぎ捨てるスペースはない。でも、着衣のままも、それはそれでいいかもしれない。 唇を離すと、自分から僕のベルトを外しにかかってきた。へえ、そんな積極的な面があるとは。
「……挿れろ。ゴム、あるだろ。俺が、上に乗る」
「え?」
 耳を疑う、ふり。トイレに少し時間がかかっている感じがしたから、きっとその辺の準備をしたのか、と思っていたけれど、当たりだったらしい。
「……ダメか?」
 暗くても分かる赤い顔で、少し、しゅん、とした顔をされたら、もう堪(たま)らない。
 キス数回でだいぶきつそうになっているそこを解放するべく、彼の編み込み式のベルトを解いて、可愛いそれを表に出す。
――ああ、いい眺めだ。
 上は上着も脱いでいないのに、下が完全に露(あら)わになっている。自分もそんな状態だと分かっていても、翔のそれは、本当に。
「僕のも、もうちょっと元気にしてほしいな」
「ん……」
 翔から、深い、深いキス。静かだからか、唾液同士が混ざり合う音がやたら響いて、それも僕をますます興奮させる。
 そしてその唇の離れ際、直に僕のそれを撫で上げられた。
「あっ……」
 その甘さに、思わず、声が出てしまう。そして、それを今から、こんな場所で挿れると思うと、もう、理性による思考は限界を突破していく。
 自分の鞄から、ゴムを出して装着する。しかし、大事な道具が足りない。
「ローションは?」
「ほれ」
 これまたどこから出してきたのか、笑いながらその容器が差し出される。僕はそれを受け取って、履いたままだった靴を脱いだ。空気を読んだのか、翔も靴を脱いで、座席から腰を上げる。僕が座席に足を伸ばして座ると、太ももの上に、その可愛いおしりを載せて、その両足で僕の太ももを挟む。


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