この愛はただ純粋だったのに | ナノ



※先天性女体化、臨美
※裏注意




この愛はただ純粋だったのに



中出しはしないで。
臨美は静雄と繋がりながらぽつりと呟いた。静雄は臨美の言葉に律動を止め、汗がぽたりと滴る。外はしとしとと雨が降り続け、窓からはどんよりとした空が垣間見れる。部屋の中の雰囲気もまた、性行為をしている場だとは思えぬほどに暗がりで重い雰囲気だった。

「赤ちゃんなんて要らないからさ、」
「なんでだよ。」

ぴしゃりと言い放つ静雄を、どこか虚ろな瞳が一瞥しふふ、と笑う。

「だって、私、人間がすきだから。」
「だったらガキだって愛せるだろ。」
「違うよ、無理なの。」

笑う臨美に意味がわからない、と静雄は吐き捨て律動を再開しようと臨美の腰を掴んだ。だが拒むように臨美はその腕を押し退ける。臨美はそのまま繋がった状態で語り始めた。

「私は人間がすき、愛してる。そんな私が子供を産んで、育てられると思う? 無理だよ、絶対に。ひとつの対象に愛情を捧げられるなら、こんな性格にはなってない。観察対象にしかなりえないよ。育児なんてもってのほかだよね。だから要らない。子供なんて、」

わかるでしょ? そう目を細める臨美の表情はどこか苦しそうで、静雄は顔をしかめた。シズちゃんの子供なんて本当に嫌。化け物をお腹の中に宿すなんて吐き気がする。くすくすと笑いながら臨美は静雄に酷い言葉を投げ掛けていく。静雄は喉にナイフを突き付けられているかのような錯覚に陥った。だが臨美が中出しを拒むのは今回が初めてという訳ではなかった。今までも幾度として臨美は中出しを拒否し、静雄はそれに従ってきた。時にはゴムを付け、時には限界が近づくと性器を中から抜き臨美の腹の上に欲望を吐き出してきた。だが、静雄はもう限界だ、と言った。

「孕めよ、」
「嫌だって言ってるでしょ? 中で出したら許さないから。」
「俺が手前の言う事を聞くと思ってんのか?」
「何、今日は機嫌でも悪いの?」

キツく臨美は静雄を睨み付けるが、静雄はものともしない。

二人のセックスに甘い雰囲気など、かもちだされた事は一度としてなかった。街で出会えば嫌い嫌い、大嫌い。その関係は夜のベッドの上でも変わりはしない。相手の名前も、好きだという愛の囁きも、二人の間には存在しないのだ。

静雄はいつも疲れ果て眠った、否、気絶した臨美に唇を寄せるが、触れることなく離れていた。少し開き浅く息をするあの唇にキスを落としたら、この関係が崩れてしまうのか。静雄は恐怖に震えていた。だからこそ、今までの臨美の意見に従ってきたのだった。愛の無い行為でも、確かに触れあって要ることが静雄にとっての心の支えであった。
孕ませたい。そんな静雄の中で生まれた、ひとつの欲望。既成事実をつくってしまえばいい。そうしたら臨美も受け入れざるおえない。そうだ、と静雄の中で答えは固まっていた。

「怖がってんじゃねえよ、」
「……本当に今日は面倒くさいね。」

抜いて。そう臨美は冷たく言い放った。もうヤりたくない。そう言う臨美の口に今まで一度だってした事のないキスを、噛みつくように貪り、静雄は手前の言う事は聞かないと吐き捨てた。

見開かれた瞳には、不安の色がありありと映し出されている。嫌だと震えた声で呟かれたのを静雄は聞かぬふりをした。











「ひ、あっあっ、ん、うぁ!」

上擦った震えた声で臨美は喘いだ。静雄はブラジャーをたくしあげ胸をもみくだす。一度にくる快楽に臨美は押さえていた疼きに耐えきれず、腰を勝手に動かしていた。

「あ、あっ、あ…!」

静雄も臨美が腰を揺らし始めたのに気をよくしたのか、律動を早めた。ぐちゅぐちゅと速度のある水音を部屋に響かせる。静雄の大きな手のひらは未だ臨美の小ぶりな胸を掴かみ、そのたちあがった突起を弄った。不安定な体制のまま中を掻き回され、臨美はふるふると頭を振りながらシーツを握る。快楽で臨美の白い肌には鳥肌が立っていた。

「やあ、あっシ、ズちゃん、ああ、ひ、ゃぁあ!」
「…のぞ、み、」

今まで一度も最中に呼ばれなかった名前。臨美は睫毛を震わせ助けを呼ぶかのように静雄の名前を呼んだ。何で呼ぶんだ。今、この状況で。静雄の頭の中はぐちゃぐちゃになっていた。泣かせたくはない。だが、もう止められない、止めたくない。静雄は涙で歪む赤い瞳を見つめた。

「や…っ、あっ! ひ、んぁ、いやあ…っ?!」

涙声で名前を呼ばれ、静雄は逆に律動を早めた。胸を握っていた手も腰へと回しガクガクと揺さぶる。速度をあげギリギリまで抜いては最奥を突き上げた。ぎゅうぎゅうと締め付ける焼かれる程に熱い臨美の中では、静雄も限界が近づいていった。

「…中に、出す、ぞ…」
「や、だ! 中は、ぃや、あっ、ひぁ! ダメ、中、ぃ、やぁあああ……ッ!!」

嫌だと必死に訴えながらも、もう駄目だと臨美はぐっと目を瞑り、ビクンッと大きく痙攣を起こした。静雄もまた最奥を突き上げ果てる。すでに熱いその中に、静雄の熱い欲望が注ぎ込まれる感覚に臨美は息を荒ら上げ、長い絶頂の余韻に浸る間もなく、シーツを引き寄せ蹲った。



「さい、てー…」



ずるりと自身を引き抜き、中から溢れる精液。臨美の掠れた涙声に静雄は心を痛めたが、これで孕んでくれたら、と強く願った。

だが臨美の中に自身を刻み付けても、名前を呼び合っても、言いたい筈のを二文字を、未だに吐き出せずにいる事には変わりはなかった。




(20101124)

匿名さまリクエスト「静女臨で、孕ませたい静雄と孕みたくないけど中だしされる臨也」でした!

人生初の女体化でした…難産…!
何だか静雄→臨美になってしまいましたが如何でしたでしょうか><
リテイク承りますのでご気軽にどうぞ…!

この度はリクエストありがとうございました!
これからも当サイトをよろしくお願い致します。


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