一生君とそこにいて、(後) | ナノ




 静雄の腕の中でひたすらにキスの嵐を受けていると、臨也はふと顔を上げ口を開ける。答えるようにその唇に食らいつくと、臨也はぎゅっと目を瞑りならがも必死に答えた。
 マウントポディションを取るように静雄は臨也に覆い被さる。真新しいシーツが皺をつくった。


「……なあ」
「なに」


 鮮やかな赤い瞳が恥ずかしそうに左右に動く。静雄は少し浴衣がはだけ、露になった白い首筋へと視線を集中させていた。
 なあ、と少し落ち着いた声を発すると臨也も冷静を装いそれに答える。ぐいっと顔を近づけると視界に広がる顔。身を退こうにもマウントポディションをとられてはどうしようもなかった。


「シてえ」


 予想できる言葉が空気に溶けて、消えた。
 臨也は静雄の顔を見ることができず、キョロキョロと視線を外す事しかできない。静雄は臨也、と熱の籠った声で呼ぶと、コツン、と額を合わせた。


「だめか、」


 低いテノールの声が響く。
 静かな部屋の中、いいよ、優しくしてね、という返事が聞こえた。










「初めてが、ホテルなんて……どうなの、それ、ぁっ」
「うっせえよ、手前がンな格好してっからだ」


 はだけた浴衣は意味をなさず、帯が唯一緩くはなっているが身に纏っているものだった。他はシーツ同然のようで腕を通していなければ、それこそシーツともみくちゃになっていただろう。
 足を立たせ、秘部を露にすると三本もの指を受け入れるソコはぐちゅぐちゅと卑猥な水音を響かせていた。時間をかけ丹念に解したソコは腸液が溢れていた。
 第二関節ほど挿入し腹の裏の辺りを刺激すれば、前立腺を擦り臨也は甘い嬌声を上げた。


「ぁっ、んんーっ! ソコ、ばっかりぃ…っ…ぅあっ!」
「ここ、気持ちイイんだろ?」
「あ、ぁっ、…ひぅ、っ、ぅん、…気持ち、い、からっ」


 焦らすなよっ!
 溜まった涙がぼろりと零れ、臨也はシーツをたくし寄せた。
 初めてとは思えない臨也の感度の良さに静雄は興奮を抑えきれず、濡れた瞳に訴えられれば慌てたようにバックルを外しにかかる。
 やはり緊張するのか、臨也は息を飲むとゆっくりと深呼吸をひとつ。


「挿れるぞ」
「うっ、嘘、そんなおっきいのっ、入らな――…っああ!」


 ズボンを簡単に下げ、出てきた静雄のそれを一瞥し臨也は落ち着かせたはずの心臓の鼓動が跳ね上がった。
 勃ち上がったソレは自分のものよりも遥かに大きく、予想を越えていたからだ。
 咄嗟に上半身を起こし制止しようとするが、静雄はカリをソコに当てるとぐっと中を抉った。それは初めての感覚。身体を貫かれるよう衝撃が走り、臨也は背を仰け反らせ白い喉を晒した。ぐっとシーツを掴みその感覚に耐えた。


「は、…ぁ、ふ…っ…!」
「息、吐け臨也」
「わかっ、てる…!」


 臨也は必死になって呼吸を繰り返し、入り込む静雄の性器の衝撃に耐えた。やはり狭い臨也の内部に静雄も顔をしかめ、臨也の表情を窺い辛そうな面持ちが見てとれる。
 初めてでこれは早過ぎたかと途中まで挿入したソレを抜こうと腰を引いた時、シズちゃん、と掠れた声で臨也は言った。


「ここまで…シといて、抜くなんて、サイテーだよ」


 馬鹿じゃないの。
 喧嘩腰のその言葉。だが臨也は涙を零さぬよう必死になっていた。早く、挿れて。続けて紡がれる言葉に臨也は顔を紅に染め腕で隠した。
 馬鹿は手前だ。
 静雄は臨也の黒髪を撫でながら、ゆっくりと挿入を再開し始める。痛いぐらいの締め付け、火傷してしまいそうな熱に静雄は声を洩らすが、臨也を気遣い大丈夫かと何度も声をかけた。


「ぅあ、…んっ…。ははっ…ほんと、に、シズちゃんと…シてる、なんて」
「しかもホテルで、か?」
「本当、にね」

 変なの。
 臨也はくすくすと笑いながらも顔を隠す腕をどかさない。顔を隠すなよ、と静雄が無理やりその腕を取り上げると、真っ赤に染まった臨也の顔が覗いた。


「…可愛いやつ」
「うる、うるさいな! 色々と頑張ってるんだよ!」
「わかった。…動いて、いいか」
「ここまでしといて動かないなんて」
「最低、だろ」


 知ってる、とでも言うように静雄は臨也の言葉を遮った。
 臨也の腰を少し持ち上げ、しっかりと腰に手をそえ支えてやると静雄はゆっくりと律動を始めた。充分に解されたソコは腸液と静雄の先走りでぐちょぐちょと水音を奏で、臨也の喘ぎ声と共に大きくなる。目を固く閉じ眉間に皺を寄せる。だらしなく開いた口からはひっきりなしに声が洩れた。必死にシーツを掴みながら、身を捩り初めて襲われる快楽と戦った。


「ぅあっ…あん、んっ、しず、ちゃん!」
「すげえ、あちぃ、臨也の中…」
「知らな、いっ…ひゃ! あっだめ…!」


 徐々に要領を得た静雄は律動を早め、パンパンと肌がぶつかる音が大きくなる。静かだった部屋には情事の音が絶え間なく響いた。
 腰の動きに合わせ静雄は勃ち上がった臨也の性器を扱き上げると、臨也は目を見開き壮大に喘ぐ。嫌だっと悲鳴を上げるがそれは痛みを伴うからではなく大きな快楽が怖いからだという事を静雄は理解していた。


「ゃだっ! しず、ちゃん! それ、やだあっ!」
「なあ、臨也…、あんま声、でかいと、隣、聞こえるぜ…?」


 隣には、門田と新羅が居る。付き合いだした事は知っているが、こんな事をしているとは思ってもいないだろう。
 最低! と言わんばかりに臨也は静雄を睨みつけるが潤んだその瞳に効力などある訳も無く。静雄はククッと喉の奥で意地悪く笑い、冗談だよ、と露になった額にキスを落とす。そのまま唇を塞ぎ、腰の動きを早めれば臨也の喘ぎ声はすべて静雄の口の中に呑まれた。同時に性器をも扱かれれば、臨也は涙を零しながらあっけなく果てた。


「あっ…はぁ…イっ、ちゃった…?」
「みたいだな」
「しずちゃん、まだイってない、じゃん…」
「俺はいい。手前は気持ちよかったなら、それで」
「……ばか」


 疲れた、と洩らす臨也は四肢を投げ出しベッドに沈む。
 時計を見ればいつの間にか十二時を越え、明日になっていた。もちろん約束の九時に起きる事などできず鳴り響く携帯の着信音で飛び起きる事になるのは、また別のお話。
 
 それはそれは、最高の一夜だった。


(20110406)

清羅さまリクエスト
「シズイザ恋人設定で甘甘旅行+裏」でした!
時期的に卒業旅行的な雰囲気にしてみたものの、旅行関係なくなってしまいました…力不足ですみません><;
毎日訪問してくださっているという事で本当に嬉しいです!
消化が遅くなり大変申し訳ありませんでした…!
この度はリクエストありがとうございました。
これからも当サイトをよろしくお願いいたします!

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