きらきらひかる君の世界 | ナノ





「うわ、静雄! だめだめだめ! 来ちゃ駄目だって――…、」


うるせぇな、ノミ蟲の臭いがすんだよ! と静雄は声を上げながら新羅の制止を押しきりリビングにずんずんと歩を進め、おいコラ! と怒鳴った時だった。
中に居たのは、影を揺らしわたわたと焦っているセルティ。と、ソファーのクッションを握りしめ、鋭く静雄を睨み付けながらそれを盾にしている小さな少年が居た。


「―――…臨也?」


その少年は、黒髪にワインレッドの瞳が良く映える、折原臨也と酷似していたのだった。



きらきらひかる君の世界




「アッハハッ! これが! あの! ノミ蟲かよ!」
「しね!」


新羅のひみつの薬によって幼少化した臨也は、見た目こそ小学生ほどの背丈だった。あの黒髪も赤目も、良く動く口もそのままに。
身長は静雄の腰辺りに頭がくる程に縮んだ臨也は、大声を上げ笑う静雄の頭叩きの餌食となった。ガシガシと音が聞こえる程に乱雑に掻きむしる静雄の手を叩き落とすが、何のダメージも無いのかクククッと喉を鳴らすのをやめない。


(屈辱だ…!)


まさかあの静雄にこんな扱いを受けるとは。
臨也はギリギリと歯を鳴らせるとまた頭をガシガシと掻きむしられるの繰り返し。確実にバカにされている。
ナイフを手に取るが、今までと同じサイズな筈のそれがどっしりと重い。片手に収まらない。イライラと募る苛立ちに臨也は、死ね! 死ね! シズちゃんなんて死んじゃえ! と繰り返した。


「手前、結構テンパってんだろ? ボキャブラリー貧困になってんぞ? 頭までガキになってんのか?」
「うっさい!」
「ちょっと静雄、一応子供なんだから手荒に扱わないであげてよ…!」
「臨也だけどなあ? おい、抱っこしてやろうか。」
「はあ? バカにするのも大概に…って、ぅわ!」


座っていた静雄が突然立ち上がったかと思うと、同時に臨也の視界もふわりと揺らいだ。うそ! と声にならない悲鳴に近い声を上げながら臨也は担ぎ上げられていた。
何がおもしろいのか、静雄は終始笑いながら臨也を米俵のように肩に乗せる。手足をばたつかせ抵抗する臨也をものともせずに、おら、と窓の外を見えるように静雄が窓に向かって背を向けた。


「高いだろ。手前が二度と見れない高さの世界だ。」
「………なにそれ、嫌み?」
「手前、チビだもんな。」
「今は、だろうが! いつもは平均だっ!」


へいへい、と流すように静雄は言う。離す様子は無かった。思い出したように臨也は静雄の背中を叩くが、広がる景色に少し、ほんの少し、見いってしまった。


「手前、あれだな。小動物みてえだ。」


担ぎ上げられた背中を優しくポンポンと叩かれ、子供扱いするなと叫べば子供だろうがと笑われる。何と言っても、静雄は臨也を折原臨也として扱うつもりは無いようだ。


「自分は大型犬のくせに。」


ボソリと呟くが、聞こえていなかったようで何の反応もない。
なぜか優しい手つきの静雄に、ああ、そうかとある事に気づく。


(シズちゃんもお兄ちゃんだったんだよねえ…)


子供の扱いには慣れているのかもしれない。
臨也は知らない静雄の一面に、抵抗を弱めると、どうした? と心配するような声が響く。


(シズちゃんの視点、か。)


知らなかったなあ、と窓から広がる世界を見渡す。天井もこんなに近いのか。


「手前、大人しくて黙ってればかわいいんだな。」
「う…うるさいうるさいうるさい! はなして!」


酷い事を言われたのに、かわいいと、その一言に過剰に反応してしまう。離せバカ死ねこのデカブツ! そう叫べばは流石に頭にきたのか首根っこを捕まれソファーに投げ飛ばされた。


「なんだか、兄弟みたいだね、君たち。」


今まで傍観し続け漸く口を開いた新羅のそのセリフにそれはない! と2人は同時に叫びながらもガキに手は出さないという静雄と、またクッションを盾にする臨也の表情はまんざらでもなかった。



(20110212)

あきさまリクエスト「甘々でシズ仔イザ」でした!
これは子供臨也で合ってますでしょうか…子供静雄という意味だったらどうしようかと…!
その場合は書き直しますので!
というか甘々じゃない><
どうしても子供臨也さんがツンデレになりまして…むしろデレ静雄に…どうしてこうなった。
リテイクはいつでもお受けいたしますので!

日参本当に嬉しいです…!
これからもどうぞよろしくお願い致します!
リクエストありがとうございました!

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -