1月21日(金) | ナノ




ビックリすることに、恋人の誕生日が一週間と迫ってきています。



1月21日(金)



カタカタと臨也はゆっくりとした手つきでキーボードを叩いていた。暖房を効かせて、もこもことしたウサギのスリッパを履き向かうパソコンのディスプレイにはチャット画面でも無ければ仕事をしている訳でもなく、通販サイトの窓が開いていた。


(シズちゃんって何あげたら喜ぶのかな…、)


高級プリンで満足しそう。いやきっと高級でなくても喜びそうだ。
臨也はそんな事を考えながら適当に通販サイトを流し見していく。何か雑貨がいいだろうか、それともやはり食べ物だろうか。賄賂や仕送りをした事はあっても、臨也にはプレゼントを贈るといった行為をろくにした事が無かった。クリスマスには携帯吸殻入れをプレゼントしたが、あれも悩みに悩んで漸く浮かんだ品物だった。

プレゼントをあげた時の静雄の顔はきっと忘れないだろう。やべえ嬉しい、と寒くてなったのか、恥ずかしくてなのかはわからないが真っ赤に頬を染めてマフラーに顔を埋めていた。そんな顔をされて、臨也も顔が熱くなるのを感じ、はにかんだ。
だからこそ、前回を越えるプレゼントを贈りたいと臨也は考えていた。


「だめだ、シズちゃんが喜ぶものがプリンしか浮かばない…、」
「あ? 何か言ったか?」
「ッいやいや何でもない!」

――…そうだシズちゃん居るんだった、
昨日の夜から泊まっている静雄は平日だというのに金曜日の今日は仕事が午後からだと言う。静雄はお昼のゆったりとした情報番組をぼーと眺めていた。

思わず口にしてしまった臨也の言葉に、そうかよ、と曖昧ながら納得したように言い、壁掛け時計を一瞥して立ち上がった。長い針は11と12の数字の丁度真ん中だ。


「ちょっと早いけど飯作っていいか?」
「うん、大丈夫。」
「今日はそうだな、…きのこパスタな。」
「あ、美味しそう。」


バーテン服の裾を捲り、臨也がろくに使わなくなった黒いエプロンを纏い静雄はキッチンに立った。どこで学んだか知らないが、静雄は料理の腕がいい。何食わぬ顔でさらりと料理を生み出すその腕を、臨也は認めていた。
そして異様に黒いエプロンが似合う。


(要するに、かっこいいんだよなあ…、)


毎回静雄が家に来るときは料理を振る舞ってくれている。
臨也はデスクに頬杖をかいてキッチンに立つ静雄をまじまじと見つめた。


「シズちゃんさあ、何か欲しいものない?」
「欲しいもの? あー…シャンプーが切れてたな、」
「いや。そういうので無くて、」
「あ? 違うのか?」
「まあ。うん、ね。」
「なんだそりゃ。」


湯を沸かしながら隣で茸を炒め、ジュージューと良い音が聞こえる。
何をプレゼントするか全く候補も浮かばずに臨也はパソコンの電源を落としてしまう。

腹を空かせる良い匂いに誘われてしまった。


…………7日前



(20110120)

突発アンケートより黒いエプロンの静雄ネタを頂きました(^o^)
お話の長さはまちまちになりそうです。基本的に短めですが…。

では、1週間の静雄誕生日企画にお付き合い頂ければと思います!


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