ある休みの日に、 | ナノ



※高3静雄×小3(ぐらい?)臨也




ぐい、と何かを引っ張られる感覚に静雄は深い眠りから覚醒を余儀なくされる。ぶるりと冷たい空気に肩を震わせ、重たい瞼を上げると腕の中で丸くなる臨也の姿にやんわりと口元が緩む。引っ張られた感覚は臨也が静雄の着ているジャージを掴んだためだった。元々1人用のベッドに2人で寝ているのだから、寄り添う様に寝なければいけないのは仕方がない。静雄は未だ目覚めない臨也の滑らかな黒髪を撫で、また瞼を閉じた。




ある休みの日に、




「シズちゃーん。」

小さな拳が静雄の背中にぽすりとヒットする。痛くもないそれ。こたつに向かう静雄は、何も反応を見せずに持つシャーペンをコツコツと音をたてた。すると臨也は、再度静雄の名前を呼びながら背中にへばりついた。動きを制限された静雄は動かしていたシャーペンを置き、臨也を引き剥がす。


「なんだよ臨也。」
「あそびにいきたいなー。」
「…気を付けて行ってこいよ。」
「違うー!」


12月下旬。静雄はつい先日ようやく冬休みに突入した。朝からゆっくりできる素晴らしい期間。臨也は静雄よりも数日早い冬休み。ようやく2人が揃い家でゆっくり出来ていた。そう、ゆっくり出来ていた、はず、だったのだ。
一応に就職希望で大学に進学する予定は無い静雄だが、生徒全員にレポート、及び課題が終業式の日に配られてしまった。たった2〜3週間の休みにしては多い課題に静雄は苛立ちを露にしたが、ここで卒業見込みを失う訳にはいかない、と思いとどまった。そう、簡潔に言えば静雄は今、冬休み突入そうそうに課題に追われているのだ。だからといっては何だが、静雄は臨也の一緒に遊びたいという誘いにのる事はできなかった。


「シズちゃん暇でしょ?」
「いや全く。」


少しむくれながら臨也は尚もジャージの裾を引っ張るが、静雄は相手にもしない。
臨也の周りには友達が居ない訳では無いのだ。どうせ皆冬休みなのだ、同年代の友達と遊ぶ方が歳の離れた自分よりかは楽しいだろう、というのが静雄の考えだった。だが臨也は、ただ遊びたいのではなく、静雄と、遊びたかったのだ。
ねえ、ねえ、と絶え間なく裾を引くが今忙しいんだよ、と一言であしらうと臨也はじとりとした瞳で静雄を見る。
しばらくすると諦めたようにこたつに入り込み、静雄の隣で暖をとった。


「手前も宿題? とかあるだろ?」
「えっと、たしか…算数のドリルと漢字かな。」
「じゃあ算数、見てやろうか。」
「わお! シズちゃん算数わかるの!」
「手前バカにしてんだろ!」
「うん。」


ケロリと静雄の青筋を浮かび上がらせるセリフを吐く臨也に静雄は持つシャーペンを怒りに任せ折り曲げそうになるが必死に耐える。シャーペンは悪くない。
ピクピクとこめかみを震わせている静雄とは裏腹に、臨也は鼻歌混じりにランドセルから問題のドリルと筆箱を取りだしまたこたつへと戻ってきた。素直じゃねえなあ、と静雄は苦笑いを溢しながら数年前に教わった数式ともいえないような数字の並びを臨也に教えていく。


「あ、シズちゃんすごい。」
「これでも高校在学中だしな。」


臨也がわからない、と手を止めるのはかなり希で頭が良いのを感心する静雄は不意に臨也の頭を撫でてやるとぴたりと鉛筆を持つ手が止まった。


「わかんねえとこあったか?」
「……もんだい無いから頭から手をどけて。」
「へいへい。」


耳がほんのり赤い臨也を愛しく見つめながら、静雄は自身のレポートに視線を戻す。だが。
不味い、進まねえ。
隣が気になってレポートどころじゃないだろ、と頭を掻いた。シャーペンをこたつの上に転がし、天井を見上げた。


「もうちょい暖かかったら、今度は外で遊んでやるよ。」


な? と臨也の表情を窺う。大きな赤い瞳が開かれ、直ぐ様いつもの表情に戻るが頷いた瞬間は、笑みが隠しきれていない。そんな子供らしい反応に、静雄は声を上げて笑った。
――…むっとした臨也から小さな拳が飛んできたことは言うまでもないだろう。




(20101223)

ゆう様リクエスト「そこに永遠があるならば。」の高校生静雄×小学生臨也の続き、でした!

雰囲気甘く、雰囲気甘く…と呟きながら書かせていただきました!ショタ也可愛いよショタ也!
ちゃんと甘い雰囲気になっているか不安です。臨也さんのキャラクターが不安定で焦ります…。
如何でしたでしょうか…?
リテイクはいつでも受付中ですので、なんなりと!
この度はリクエストありがとうございました!



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