暗闇の中で、死なせて | ナノ



モブ臨有
裏にご注意





誰ともわからない者の爪先が腹へとめり込み、静雄は強制的に眠りの底からの覚醒を強いられた。がは、と鈍く唸り、身体が冷たい床に叩きつけられる。その時静雄は自身の身体が拘束されている事に気付いた。


(なん、だ…?)


腕を動かそうにも手錠ではなく、革製のぴったりとしたもので腕を背中で纏められているため、倒れた身体を動かす事すらままならない。身の覚えの無い暴力に痛む身体を丸めた。

嫌な臭いが充満している。何の臭いだかはわからない。だが鼻につく、嫌な臭いだ。動かない腕、痛む腹、非常事態だと頭が必死に訴えている。静雄は必死に見える範囲でここは何処なのかを確認しようと回りを見渡すとカツン、と黒い革靴が視界に現れた。


「起きたかい、平和島くん。」


視線を上げて見るがその男に静雄は覚えが無かった。誰だ、と低い声で問うが男はククッと喉を鳴らすだけに終わる。黒いスーツを身に纏う男は些か一般人には見えず、あっち側の人間なのだろう。なぜ自分がこんな目に合っているのかわからず、だが巻き込まれたのは明白であり、静雄はくそ、と胸の中で吐き捨てた。


「…ああ、力を失ったのは本当か。」


抵抗を見せない静雄に男が嘲笑いながら、顔を覗き込む。ギロリと鋭く睨み付ける静雄だったが、ふと男の後ろにベッドがある事に気づいた。新しい床、ベッド、近くにあるのは、上品な椅子…ここはホテルの一室か何かかと思考を巡らせていると、男は静雄の頭を乱暴に掴み、持ち上げた。痛みに顔を歪めるが、静雄は男を睨み続ける。


「さあ、駒はそろった。」


楽しもうか、平和島くん?
ニヤリと男は笑って、ほら、と呟いた。男が指差す先はベッドの上。嫌な臭いの正体は、そこにあった。




「…ゃ、だっ、しず、ひぁっ、見っな、あっ、いでぇ…!」


それは、数人の男に組み敷かれる、折原臨也の姿だった。




暗闇の中で、死なせて





目を疑った。状況が呑み込めずに、静雄はただただ絶句していた。
ベッドの上で、臨也は座らせられながらスーツ姿の男2人に犯されている。ズボンを下げられ、足を持ち上げられて性器を露にし、1人の男がそれをくわえている。いつもの黒いVネックは後ろからもう1人の男にたくしあげられ、胸の突起を愛撫されていた。腕は静雄と同様に拘束されているのか、抵抗といえば必死に首を振っているぐらいだった。


「ひぁっ、やめ、あっ、もぅ、やあ!、シズ、見る、ぁな、」


静雄の前に居る首謀者と思わしき男は、軽く何かを2人の男に合図を送ると、2人の男達は激しく臨也を攻め立て始めた。じゅぽじゅぽと激しく水音を立て、1人の男は臨也の性器を口淫し始める。先端の穴を舌でつつかれる度に先走りが溢れ、敏感な亀頭を先走りでぬめる舌で執拗に弄ばれ甘い声が部屋を満たしていた。
臨也の背後にまわる男は、硬く尖った胸の突起をコリコリと弄び、つまみ上げ、弾く。首筋に赤い鬱血痕を塵ばめながら耳を舐めまわし中へも侵入する。逃げようと臨也は頭を振るが、ぐしゃぐしゃな顔、紅潮した頬が快楽に溺れていることを示していた。


「ァあ、っひ! さわ、んな、……んぁあ!」
「イかせてやれ。」
「嫌、だっ! ゃっ、だめ、や、ぁあ、あ、見な――…っあああ!!」

「いざ、や、」


胸の突起を強く摘まれ亀頭を吸い上げられれば臨也は痺れるような快楽にびくんびくんっ! と痙攣を起こしながら呆気なく精液を男の口の中へと吐き出した。

掠れた声で静雄は臨也の名を呼ぶ。荒い息を吐き、未だ治まらない高ぶりに身を震わす臨也に普段の飄々としている姿はどこにも存在していなかった。何がどうなってやがる。静雄は目の前の状況がわからなかった。臨也が犯されて、いる。


「やはり素晴らしい薬だ…。どうかね、平和島くん。」
「手前え! ふざけてんのか! ああ゙!!…っ!」
「しず、ちゃ、!」


薬を盛られているらしい臨也。激動の如く頭にかっかと沸いた怒りに身を任せ、叫ぶと男の足がまた腹へと降ってくる。踏み潰すかのようなその足に、洩れそうになる呻き声を必死に堪えた。ああ、なんで力が無い。何で力が無くなった。どうして、どうして、

静雄が食い縛りながら男を睨み付ける。その瞳に男は気に入らなかったのか、今度は横から腹を蹴り上げた。


「力のない君は、…脅威ではないのだよ。平和島くん。ほら、…楽しもうじゃないか。」
「やめろッ! アイツに触ってんじゃ、ねえよ!!」


叫び続ける静雄だが、首謀者の男は聞く耳を持たず、近くの椅子に腰をかけ優雅に足を組んだ。続きを、と男が微笑みながら促すと臨也を組み敷く男達もまた口元を歪ませた。

イッたにも関わらず萎えもせず勃ち上がる性器に臨也も理解が追い付かないのか、あり得ないという表情でべろりと再度性器に舌を這わせる男のギラついた瞳に息を詰まらせた。どうしてこうなったのかと臨也は鈍い頭で考えようとするが、再開された愛撫にその思考はどこかへと追いやられてしまう。静雄の目の前で、何の抵抗もできず犯されているこの状況は、耐え難い屈辱。生理的に溢れてくる涙を止める事は、できなかった。


「ああ、泣いてしまったか。」
「臨也! いざ、やッ!」
「早いですよ、折原さん。ここからなんですから、」
「ひ、ゃっ、あ! つめ、た…、!」


寝そべる男に被さるようにうつ伏せに倒され、腰を突き出すような体制をとらされた臨也は、後孔にローションをたっぷりと垂らされその冷たさに身を震わせた。臨也の目の前には男のグロテスクな性器。鼻につく臭い。嫌だと必死に抵抗をするも虚しく、後ろの男が指を突き入れた。


「ひぃ、あぁあっ! んあ!」


悲鳴に近い嬌声に静雄は頭を床に擦りつける事しかできなかった。コンプレックスだったあの力が無いことを、無くなってしまえばいいと思った力が今無いことを、静雄は憎んだ。

どうして、




(20101215)

終わりと見せかけて続きます。長くてすみません><


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