世界は僕を手放した | ナノ




ぽろぽろと絶え間なく涙が溢れ、シーツへと溶けた。ぎゅっと瞳を強く瞑る臨也に男はフッと息を漏らす。


「泣いてる顔も可愛い。」


臨也の震える睫毛に舌を這わせ、男は涙を拭った。情けない声でもう嫌だと懇願する臨也は肩を震わせる。

―――…あと998枚だね。

悪魔が囁くような声だった。濡れた瞳を見開き、その赤い瞳は絶望の色を濃くしていく。


「ひ、ゃぁだ、」


カチャカチャと男が手際よく臨也のベルトを外していく。足をばたつかせ抵抗するが薬のせいでどうも動きが鈍くなっていた。簡単にベルトを外され、そのままズボンを下着ごとずり下ろされる。感じる冷気に下部が晒された事を察っした臨也は声を上げたが男が臨也の性器を握り、叫び声は喘ぎ声と変わった。


「ゃ、触るなっ、やだ!、ぁあ、ぅ」
「勃ってるよ、臨也。気持ちいいんだね」
「違、う!嫌だ、あっ、」


薬の効果によって何倍にも大きくなる快楽。軽く性器を扱かれるだけだったが次第に臨也はカタカタと震え、性器は押し寄せる快楽に先走りが零れだしてきていた。


「ひ、ぁあ――…っ!!」


先端を爪で軽く抉られ背が弓なりにしなる。ぱくぱくと開閉を繰り返す口からは荒い息しか聞こえてこない。男の手のひらに臨也の吐き出した精液が溢れた。男は目を細めて自らの手のひらを口へともっていき、べろりと舐めとった。


「臨也の精液…」


苦いね、と笑いながら臨也に語りかけ未だ精液が残る手のひらを見せつける。知らぬ男の愛撫でイッてしまったショックとイッてもなお熱い身体に臨也は涙を溜めた。もう嫌だ、嫌だ。助けて、


「泣いている臨也の顔も、臨也の精液の味も、初めて知ったよ。」


嬉しいな、と男はまた笑う。臨也は反論する力さえ、上がる息と徐々に熱くなる身体に理性を保っている事すら厳しくなっていた。


「ひ、ぁ、熱…嫌、だ、」
「あと997枚、」


イッたばかりだというのに臨也のそれは腹にくっついてしまうのではと思うほどに勃ち上がり主張していた。臨也は抵抗をしようと必死に足を振り上げ男を蹴り飛ばそうとするが難なく足を握られ、無意味に終わる。そのまま脹ら脛に舌を這わされ、それすらも快楽へ変換してしまっていた。


「もっ、ゃ、っ!ひぁ!」


大きく足を開かれ太ももの内側の薄い肉を強く吸われる。じゅるじゅると唾液を全体に塗るように男は太ももを舐め回し、時には強く吸い上げ赤い跡をつけていった。


「臨也…」
「やだっ、跡つけちゃ! やめ、シズちゃ…、ぁああ!」


必死に静雄の名を呼び助けを乞うが男が手を止めるはずもなく。つつ…と太ももから流れるように臨也の性器へと舌を這わせ、張り裂けそうな程に勃ち上がった臨也の性器を口に含んだ。熱い口内。唾液に絡まる先走り。蠢く予測不能の舌。臨也は新しく与えられる快楽に、腰を浮かせる事しかできなかった。ジャラリと繋がれた鎖の音がやけに大きく聞こえる。


「あ、ひぃ、あぁあ! だ、ゃあ、やめ、あ゛ぁあ」


気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい…!
じゅぼじゅぼと卑猥な音を立て男は激しく吸い上げては先端をぐりぐりと刺激していた。はしたなく開いた口からは嬌声が溢れ、臨也はシーツを握る。頭を振っていても先ほどまでの拒絶の言葉は無くなり、甘い喘ぎ声だけが部屋を満たした。


「臨也、気持ち、いいかい?」
「ああっ、ぅあ、も、だめ…また、しず、ちゃあ――…っ!!」


ビクンッと身体が激しく痙攣し、男の口の中いっぱいに苦味が広がる。力無く臨也はシーツに埋もれ、男は喉を鳴らし吐き出された精液を飲み干すとクスリと笑って呟いた。


「あと、996枚」


地獄はまだ始まったばかりだった。



(20101010)

こっそりアンケートで更新して欲しい!とかなり票を頂いたので、更新です!

20110121→加筆修正

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