世界は僕を手放した | ナノ



気をつけていた、気をつけていなかったという話ではなかった。
昨日の夜、臨也は静雄の家に泊まっていた。

仕事が溜まっているから、と痛む体を引きずり朝早くタクシーを捕まえ新宿まで帰ってきた。いつものようにマンションの解除キーに入力して中に入る。玄関まで来て我が家に入るとすぐにコートを脱いで休む間もなく溜めた仕事に取りかかる予定、だった。

眠気覚ましにコーヒーを入れ、目を擦りパソコンに向かおうとした瞬間、背後に人の気配を感じ振り返った。


「ぐっぁ…!」


刹那、
腹部に電撃を感じ、臨也の世界は暗転したのだった――……








「ぃゃ…だっ!触るなぁあ…!」


男は臨也の服をたくしあげ、薬のせいで既にぷつりと少し勃ち上がっている胸の突起に舌を這わせた。
円を描くように何度も何度も丹念に舐め、決して突起自体には触れない。


「くぅ、ぅあ…」
「臨也…ここは平和島静雄の調教済みなの?」


もう勃ってるよ?
男の吐く息でさえ敏感な肌はビクビクと震え、快楽が押し寄せる。
触れて欲しい、舐めて欲しい、噛んで欲しいと頭の奥で誰かが叫んだ。
涙目になりながらもぶんぶんと頭を振る臨也を見、男は軽く笑って突然臨也の右の突起を口に含み、激しく舌を絡み付けた。


「はぁあ…んぁ!んっー!」


歯を噛んで声を出さぬようにする臨也を横目に空いた左の突起は手で愛撫を始めた。摘まんで、弾いて、引っ張って。右の突起は吸っては舌で転がし、甘噛みをする。


「あぁ!だめ…嫌だっ、シズ…ゃああ!」


耐えきれず漏れる臨也の嬌声に混じる平和島静雄の名前に男は仕方なさそうに笑って、愛撫を続けた。


「気持ちいいかい?臨也」


薬が周り、火照る体に与えられる快楽は確実に臨也を冒し、おかしくなりそうなのを静雄への想いが制止をかける。

助けて、シズちゃん…!

帰ると言った時、大丈夫か? まだ居ろよ、と静雄のその言葉にすがればよかった。
臨也は今更ながら後悔を繰り返し、与える快楽に耐えた。

気持ちが悪い、
静雄以外にそんなところを舐めさせた事などなかった。

シズちゃん、シズちゃん、


「シズ、ちゃあ…ひ、ああっ!」
「臨也、気持ちいいって言ってごらん」
「やぁ…あ」


写真、消してあげる。
男が耳元でゆっくりと囁いて、そのままじゅぼ、と耳に舌を入れてきた。ざわざわとする感覚に嫌悪感だけでなく快楽もある事実に臨也は吐き気を感じざるおえず臨也は固く目を瞑る。

言わなければ、言わなければ、


『千回イけばいいんだよ』

男の声は本気だった。
折原臨也が屈するなど、耐えられぬ屈辱だったが拒否権など与えられていない。本当に写真を消してくれる保証などどこにもなかったが、臨也の選択肢は限られていた、否、それしかなかった。

止まらない男の愛撫に口を開けば喘ぎ声しか発する事ができない。
必死に息を吸ってはふるふると口を動かした。


「気持ち、ぁっ、いい…!」


死にたくなって、涙が止まらなくなった。くそ、泣くななくな、泣くな。



(20100618)

まさかのB地区責めで終わった…だと…

20110121→加筆修正

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -