世界は僕を手放した | ナノ

静臨前提・モブ臨
ぬる裏注意






ああ、最悪だ。
俺とした事が。
いや、そんな事を呑気に考えられるほど、余裕なんて、ない。

ねえ助けて、シズちゃん。




世界はを手放した





「申し訳ないんだけど、君、どちら様かな?覚えが無いんだけど」

ジャラリと繋がれた手錠が音を奏でる。
臨也はベッドに腰かける青年に冷静を装い声をかけた。
青年は軽く微笑み返し、臨也の頬を優しく撫でる。


「……ぁ、ん…」


頬を触れられただけだというのに、口からは甘い嬌声が洩れてしまい臨也は嫌だ、と顔を背けながらキツく唇を噛んだ。


「薬、効いてるみたいだね…触られるだけで気持ちいいかい?」
「…だ、ま…れっ!…ゃっ!」


服の上から優しく胸の突起を撫でるだけで臨也は体をよじり必死に迫りくる快楽から逃げ回る。
そんな臨也に気を良くしたのか、青年はハハッ!と心底楽しそうに声をあげて笑った。


「臨也が俺の事を知らないのは仕方ないよ。俺は臨也から情報を買った事も無ければ提供した事もない。はじめまして、だよ?」
「じゃあ、なん、で」
「あ、雇われた訳でもないからね。ただ、そう。ただ……臨也が好きなんだよ」


男は臨也のVネックの上から躊躇いもなく突起を舐める。
肌と服が擦れる感覚。予想ができない舌の動きに頭が付いて来る訳がなかった。媚薬も効いて、臨也は苦しそうにただ喘いだ。


「可愛いよ、臨也」


手錠で繋がれているせいで口を塞ぐ手だてが臨也には無い。
唇を白くなるほど噛み締めるが、男の手の介入によってあっけなく臨也の口からは嬌声が洩れ出した。

熱があるかのように火照る体を鎮める方法は、男が握っていた。
はっ、はっ、と苦しそうに息を吐いて必死になって理性をかき集める。


「俺はね、臨也。ずっと臨也を見ていたんだ。君が好きだったからね。でもそれだけで十分だった。今まで、は……」


男の声がだんだんと小さくなり、明らかに様子が変わっていた。
男はポケットから小さなレコーダーのような物を取り出したかと思うと、臨也を一瞥しカチリ、とボタンを押した。

聞こえてきた音に、臨也は目を、見開いた。


『ゃ…ああっ!シズ、シズちゃ、あ!』
『いざ、や…っ!』
『だめだめっ!イっちゃ!イ……』


「やめろっ!!!!!」

臨也は大声で流れる自分の淫らな声を掻き消した。否、それしかする事ができなかった。
は、は、と荒れる息をどうする事もできず臨也はただ男を睨み付けた。
だが男は顔色ひとつ変えずに、言葉を紡ぐ。


「臨也が平和島静雄と付き合い始めた事は知っていたんだ。それでも俺は臨也が好きだった。それだけで良かった。別に臨也が俺を意識してくれなくても構わなかった。だって俺が臨也の事を好きな事には変わりはないから。でも、駄目だった。あんな臨也、俺は知らない。あんな臨也、あんな臨也、あんな臨也…!」


だんだんと男の声色はヒステリックなものへと変化していき、頭をガリガリと掻き始めた。
すると突然ぎょろりと男の瞳がこちらを映した。
ヒュッ、と臨也は息を飲む。
それは恐怖、だった。


「臨也を知りたいんだ。だけど俺は臨也を傷つけたくない。だから……」


男の瞳は暫く臨也を映し続け、そして男の口が弧を描く。


「“いれて”って言ってくれないかい?」


男は臨也の秘部にそっと手をあてがった。
これは強姦でもレイプでもない、合意の上でのセックスだと、そう作り上げたいという事か。
臨也は先ほど感じた恐怖を振り払い、火照る体を無視して大きく鼻で笑ってやる。


「ハッ!そん、なの言うわけ無いだろ…!」


すると男は残念そうにため息をついて、今度は携帯を取り出した。
写真や動画を撮られるのかと臨也は全身を強張らせる。
何をしている、と言おうと口を開いた時、男がクスクスと笑いながら携帯を操作し続けた。


「何が、」
「昨日は公園で青姦。木に手をついて腰をつき出してる臨也は本当に可愛かったなあ。一昨日は池袋の人気がない裏路地で公開プレイ。必死に声を殺す臨也…可愛かったよ。平和島静雄は大胆だね、臨也も然り、だけどさ」


ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべ男は携帯の画面を臨也に突きつけた。


「な―――…っ!!」


その画面には静雄と臨也が繋がっている写真、それこそ今この男が話していた場面の写真が表示されていた。
臨也は咄嗟に携帯を奪おうと暴れるが、媚薬が効いていて力が弱く、手を拘束されている臨也が携帯を奪う事ができる訳もなく、携帯はあっけなく男の胸ポケットへ帰っていった。
屈辱で目の前が霞む、あり得ないあり得ない、臨也は何度も繰り返しては唇を噛んだ。

臨也は今、揺すられているのだ。
抱かれるか、写真を流されるか。
この男を社会的に潰してやりたい。くそっくそっ…!!
臨也はやり場のない怒りに気が狂いそうだった。


「じゃあ、臨也、こうしよう」


男は明らかにこの状況を楽しんでいるように人差し指を立てた。


「臨也が一回イク毎に一枚写真を削除するよ。えーっと、気持ちいいって言ったら二枚!そうだなあ、イきたいって言えたら五枚消してあげようか!それで…いれさせてくれたら、百枚。最後に俺が臨也の中でイったら、全部消そう!約束するよ!」


ねえ、どうだい?と男は微笑んだ。
その微笑みに臨也は鋭く睨み付け、冷静に答えた。


「写真は…写真は全部で何枚だ」


臨也の言葉に男は少し驚いたように目を瞬かせ、言った。


「えっと……千枚はあるかもしれないなあ」


嘘だ。
男の言葉に、臨也はただ絶望を感じざるおえなかった。
カタカタと震えが止まらない。恐怖からか、怒りからか。それは臨也自身にもわからなかった。


「でも、臨也が俺に抱かれたくないのなら」
「ゃっ……ぁ」


男の顔を近づいて、臨也は首を振って必死に男を拒絶する。
耳にかかる息でさえ、淫らな声が上がってしまう自分自身を殺してやりたい。
臨也が固く目を瞑った時、

悪魔が囁いた。





「千回イけば良いんだよ」





(20100527)

これは一体なんなんだろうか……書きたい事を詰め込んだらこんなことに…!
全力で続かない。本当は本番まで書くつもりだったけど…

20110121→加筆修正


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -