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9/5〜10/4までの拍手お礼文でした^^
※来神時代


夏休みが明けた、9月。
まだ蝉の鳴き声が響く空には雲ひとつない。
活気立つ校内。今は、文化祭真っ最中だ。

静雄は自分のクラスのお化け屋敷で、セクハラまがいの行為をしないかを監視する役目、言い方を変えれば用心棒のようなものを任され、ついさっきまでクラスの方にでていた。
交代していいよ、と名さえ覚えていない女性徒に言われ、特に行く宛も無いがフラフラと校内を歩いている。

そんな時だ。
肩を叩かれ振り返ると、笑みを浮かべた友人、もとい新羅がいた。

「今臨也が店番してるんだ」

――…見に来ないかい?





こっちだと新羅に案内され臨也のクラスへと足を運ぶと、可愛らしい壁の装飾と、黒のフリル…所謂メイド服を着ている臨也の姿が目に入った。

「…、いらっしゃいませ」

一瞬目を見開いた臨也だったが、にこり、と首を傾げながら微笑んだ臨也に、静雄は変な汗が流れるのを感じた。


臨也とばっちり目が合ってしまった静雄は瞬きする余裕もなく立ちすくむ。
あからさまに嫌そうな顔をする臨也と、ぐいぐいと俺の背中を押す新羅。
一歩、また一歩とクラスの敷地に踏み込む度に、臨也の痛いほどの睨みが一層キツくなる。

「臨、」
「お客様、二名様ですね。こちらへどうぞ」

にっこり。
ろくに見せた事のない笑みを、違和感なく振り撒く臨也にゾクリと何かが背を這う。
そんな素振りは見せないが、確実に、

「キレてやがる…」

ぽつりと呟くと、だったら何だと言わんばかりの睨みを飛ばすメイド臨也。
静雄の後ろに隠れ新羅は笑い声を耐えて肩を震わしていた。

「おい、臨也」
「ご注文はお決まりですか?」

またにっこりと、客と店員を演じ続ける臨也に痺れを切らし、メニューを渡す腕を掴んだ。
ふわりと膝丈のスカートが翻る。きれいだ。
一瞬目を奪われていると、臨也はその腕を振り払う事無く、冷静な口調と笑顔で告げた。

「大変申し訳ありません、お客様。このような行為は、セクハラとして訴えさせて頂きますが」

にこにこと、顔だけは良い臨也は愛想を振り撒く。
細い体に黒を基調としたメイド服は、尋常な程に似合っていて、所謂絶対領域というものが輝いてみえた。

離せ、と訴える臨也の腕をそのまま握りながら下から上まで視線を流していくと、少し頬を赤らめた臨也と視線が交差する。

「舐めるように見るな、変態っ」

腕を振り払われ、ずんずんと料理する裏の方へと消えていってしまう。
行き場の無い手を、渡されたメニューへ伸ばすとニヤニヤと嫌な笑顔の新羅が頬杖をかいている。

「どう?あの臨也」
「手前臨也に恨みでもあんのか?すげえ睨んでたぞ」
「別に?俺も数分前は同じ服を着ていただけだよ。別にその写真をセルティに送られて変な勘違いをされた腹いせなんかじゃ決してない、決してないよ」
「……ああ、そうかよ」

ただのやり返しか、とメニューを眺め「萌え」と書かれた商品名に驚愕する。
萌え萌えオムライス、萌え萌えアイスに萌えジュース。
なんでも萌えを付ければ良いという問題なのか、とため息を溢す。

所謂仮装喫茶のこのクラスは、男性が女装をし、女性が男装をしており様々なキャラクターが入り乱れているのは少し異様だ。
だが、ぐるりと教室を見渡すと客はそれなりに居るし皆気持ち悪くない程度の仮装。

(にしても臨也は無駄に似合ってやがるな…)

同じ男ながら、あのメイド服を着こなす臨也。
自分が着たら絶対に似合わないだろう、と一瞬でも想像してしまい顔をしかめた。

「売上は上々。臨也の人気も高いよー、男女問わずね」
「まあ、可愛いからな」


とりあえず水貰うか、と誰かを呼ぼうと顔を上げた瞬間ガンッと氷の入ったお冷やがテーブルに置かれる。
勢いよく置かれたそれは、少し水が零れテーブルクロスを濡らした。
恐る恐る顔をあげると案の定、銀のトレーを持った臨也がそこに居て、鋭い赤い瞳がこちらを見据えた。

「……死ねばいいのに」

照れ隠しならもう少し可愛いげがあってもいいと思う。


ばかなのか、あほなのか
(静雄は臨也バカだね)(セルティ馬鹿な手前に言われたくねえ)(…馬鹿ばっかり)


(20100905)

ベタに文化祭、仮装喫茶にメイド臨也。
なんか変態ちっくな静雄とツンツンデレくらいの臨也

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