拍手ログ | ナノ


8/7〜9/4までの拍手お礼文でした^^

※来神時代
※誰おま状態注意



どっか出掛けるか?
そんな風にシズちゃんから言ってくるのは凄く珍しくて、明日は槍が降るかと思った。
もちろん、それを言ったら降らしてやろうかと青筋をたてながら言うもんだから丁重にお断りしたけれど。

「で、どこ行きたい」
「…………お祭り、」





からん、ころん。
下駄はやっぱり履き慣れなくて、足取りはゆっくりになる。
ぬるい気温の中、俺は待ち合わせ場所に向かった。

特に浴衣を着てこいとか、着ようよと言った訳じゃないが、自然と深くにしまい込んだ浴衣を部屋中をひっくり返して探しだしてしまった。
せっかくのお祭りなのだから、と思ったがシズちゃんなら空気を読まず制服のまま来そうで何となく億劫になったのも事実だ。

(俺だけ浮いてたらどうしてくれる)

そんな八つ当たりを勝手にぶつけながら、夜道を歩く。

次第に太鼓を叩く音や人の声が聴こえてきた。
ぼんやりと明るいその場所は、沢山の人が溢れていて、改めてこの街は人が多いな、と実感する。
そんなこの街が好きなのだが、と心の中で付け足すとからん、ころん。ともう1つ足音が近づいてきたのに気づいて、振り向いた。


「悪い、待ったか?」


傷んでいるくせに何故かふわふわな金色の髪の毛が揺れて、すらりと少し濃い青色の浴衣を着たシズちゃんがそこに居た。

―――…不意討ち、だ。

あまりにも浴衣姿が似合っているものだから、少しの時間呆けてしまって、その時の俺の顔はきっと醜かったに違いない。

「何だ?やっぱ変か浴衣」
「ううん、変じゃない。変じゃ…ないよ」
「なら良い」

行くかと俺の横を通って、沢山の人の中に紛れそうになるシズちゃんの隣を歩いて、似合ってるよと告げた。

「あ、シズちゃんかき氷食べたい」
「手前も、」
「え、なに?」

「…似合ってる、浴衣」

学校じゃいつも喧嘩ばっかりで、甘い雰囲気なんてこれっぽっちもない関係の俺達。
だからシズちゃんのこんな優しい顔は、初めて見たんだ。
少し照れ臭そうに視線を泳がせるシズちゃん。
心なしか頬が紅い気がする、そして俺の顔が熱い気がするのも夏のせいで出店のライトがキツイだけだ。

ほら、と手を握って前を歩くシズちゃんの背中は、男らしくて。

すごく、かっこよかった。







(20100808)

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