拍手ログ | ナノ


5/26〜7/26までの拍手お礼文でした^^


※来神時代
※新羅視点シズイザ



「なんでこうなる」
「俺が聞きてえよ」

適度に揺れるバスの中、天敵である臨也と静雄がまさか隣同士で座席に腰をついてるなんて姿、いやぁ、興味深いね。
僕はというとちょっと離れた所でつり革に揺られてる。
人混みであっちは気づいてないだろうね。

今日は雨のせいでいつもよりバスに乗る人が多い。
しかも学校が終わり、駅に向かう学生でバスはもう満杯だ。
いつもなら愛しのセルティに迎えにきてもらうんだけど、雨の中、彼女に来て貰うなんてそんな事できるかい?もちろん答えは否だ。
あぁセルティ!愛してる!
……あーっと、そんな事よりあの2人?仕方ないね。

ねえ、バスの座席はなんであんなにも狭いんだろうね?一番後ろの五人かけならまだしも、二人掛けの座席は本当に窮屈だ。
しかも静雄は体がやたらでかいし、逆に臨也は小さい。だから……

「シズちゃん狭い、暑い、キモい」
「あ?!最後のは関係ねえだろ!」
「ちょっと大声ださないでよ、迷惑。同じ学校だと思われたくない」
「チッ……」

まあ、ああなるだろうね。
臨也も静雄がわざとじゃないとわかっているから、ぐいぐい押すような事はない。
静雄もそれなりに気にかけてる感じだ。
臨也が窓際に座ってしまったのが悪いんだけど、まあ流れであーなったんだろうし、仕方ないよね。
むしろ周りに居る人たちがいつ静雄と臨也が交戦するかと戦々恐々としてるよ。気付いてないだろうけど。

「あーもう疲れたのに寝れやしない」
「あ?手前全然動いてなかったじゃねえか」
「なに言ってんの?最後のスリーポイント入れたの俺だよ?シズちゃんがファール取られすぎて無駄に点あげちゃってさ」
「直前まで手前ずっと歩いてただろうが!」
「ちゃんとパスは回したよ。ま、否定はしないけど」

明らかに静雄からうぜぇオーラを感じるなあ。
やめてよここバスの中だよ?
ちょっとしたバスジャック事件としてニュースになってしまうよ。

最近体育の授業でバスケをやるようになって、今まで体育をサボり続けた臨也と静雄は顔を出すようになった。
教師は顔を真っ青にしてたけど、二人はバスケ、好きらしい。
まあ、出席日数的な意味もあるんだろうけど。

バスケが好きらしい二人はやはり上手かった。
臨也がカットしたボールを静雄を回せば静雄はゴールへ一直線。
それはそれは鮮やかにダンクを決める静雄に現役バスケ部達も開いた口が塞がらない。いやぁ、すごいアホ面でたまらなかったね!


「あーもういい、手前黙れ」
「はあ?キレてんのはシズちゃんが…勝手、に…」
「肩、借りんぞ」
「へ、いや…ちょ!」

あららー。
静雄はお休みタイムかな?
臨也のちょっと低い場所にある肩をかりて。
いやあ見せつけてくれる。
あんなに取り乱す臨也が見れるのも貴重だ。
写真が撮れないのが惜しいよ全く。いいネタになったのに。

「俺が眠いって言ったのにシズちゃんが寝るとか喧嘩売ってるの?……え、もう寝た?」

さらさらとバスの揺れに合わせて静雄の髪が踊った。
反応がないし、もう眠気に負けたみたいだね静雄は。
かなり動き回っていたし、授業に出ていた分寝ていないんだろうし眠いのは仕方ないと言ったら仕方ないのかもしれない。
残された臨也は多分、静雄の表情を確認できるんだと思う、何かを見て、固まってた。
まあ察するに静雄の寝顔を間近で見て、ときめいたりしたんじゃないの?きっとね。

「シズちゃん、おーいシズちゃんってば」

静雄の寝起きの悪さと寝の速さは臨也は十分承知しているはずだ。
あんな風に声をかけるのが無意味だというのも、知っているはずなのだ、が。
きっと臨也は内心慌てているんだろう。
静雄の行動にどうしていいかわからないんだ。二人共、素直じゃないからね。

臨也は何回か静雄に声をかけるが、どれも反応は一緒だった。
諦めたように臨也は窓枠に頬杖をついて雨がふる外を見た。
同時に何か言いたそうに臨也の口が開かれ、言葉を紡ぐ。

――…あぁ、その言葉は聞こえなかった事にしよう。


『かっこよかったよ、シズちゃん』




一度だけのラブソング



(20100526)

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