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 しんら手前責任とれよ! ふざけるのも大概にしろよこのへんたい! と静雄と臨也は足元で大声を上げて喚いた。ぽかぽかと腹に小さな拳が振り下ろされるが、新羅は気にした様子は無く、逆に小さくなった二人を興味深そうに見つめていた。

「やっぱり小さくなっても静雄より小さいんだね、臨也」
「ケンカうってるのかよ! しね!」
「そして小さくなっても金髪な静雄…。なんて迷惑至極。これじゃ私たち親が元ヤンに思われかねないじゃないか」
「うるせぇ! お前がわるいんだろ! つか親じゃねえし!」
『にしても二人とも…すごく可愛らしいな』

 白熱していく三人とは裏腹に、セルティのまわりには花が飛んでいそうな程に上機嫌で、PDAを掲げ何をするのかと静雄は見上げた。するとパシャパシャと軽い音が連続して鳴り写真を撮っている事に気づいた時には、ピロリン、と保存した時に流れる音が部屋に響いていた。
 いつものように静雄が切れる事が無いのは幼児化したせいか、相手がセルティだからなのか。切れるより先にぽかんと口を開けていた静雄は、臨也の怒声にハッと我を取り戻す。何とってるんだよ運び屋!と言う臨也は、ずるずると服の裾を引きずりながらセルティの足元に来るとPDAを奪おうとしているのかぴょんぴょんと飛び跳ね始めた。それを見てセルティは可愛い可愛いとハートを飛ばすとその小さく細い身体を抱こうと手を伸ばした。

「ちょっと、はこび屋、ふざけ―――ッ!」

 逃げるように臨也は身を引いてセルティの手から逃げる。そうして踏みつけてしまった自分の大切にしていたファー付きコート。あっ、と驚く前に臨也の小さな身体は大きく傾き、びたんっ、と大きな音を立ててフローリングへと激突していた。
 たっぷり三拍の間をとって、一番に声をかけたのは珍しくも静雄だった。

「お、おい。だいじょうぶかよ」

 おろおろと心配そうにするセルティと、興味津々に子供二人を観察する新羅。静雄は動かなくなった臨也にそっと声をかけるが、反応が無い。心配になって静雄はしゃがみ込み、強く握られている臨也の拳を掴んで引っ張り起こしてやろうと腕を掴んだ。いざや、と静雄が言うと、ぺたりと臨也はコートの上に座り込んでしまった。だいじょうぶか、と俯いてる顔を覗き込んでみると、真っ赤な瞳が涙で歪んでいる事に静雄はぎょっとして目を丸くする。

「おっ、おい。なくなよ!」
「泣いてないよ! しずちゃんしね!」
「はあ?! なんだよそれ! ばかじゃねえの!」
「こらこら喧嘩しないの。というかボキャブラリーが貧困だねえ。きょうみ…」

 興味深い、と言おうとした新羅の口が止まる。それは、今にも泣きそうな静雄の姿があったからだ。ぐっを下唇を噛みしめ床を見つめ肩を震わせている。幼児化して、情緒不安定なのかもしれない。新羅はふとそんな事を考え、面白い! と思ったのもつかの間、臨也だけではなく静雄も我慢の糸が切れてしまったのか大声で泣き出し始めてしまったのだった。


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