拍手ログ | ナノ


1月7日〜3月3日までの拍手お礼文でした



いってきますとバタバタ慌てながら支度をする妹たちに声をかけ、真っ赤なマフラーを首に巻き外にでると、肌を突き刺すような冷たい風に身を震わせた。
うわ、寒い、と咄嗟に声を洩らし朝の日差しに目を細めていると、目の前に広がる銀色の世界に細めいていた瞳を見開かれた。


「寒いと思ったら雪かよ……ッ!」







シャクシャクと気持ちの良い音を足の裏に感じながら学校へと向かう。見慣れているはずの道も雪に包まれ違う世界のように感じた。
ふう、と吐き出す息は真っ白に染まり空気に溶ける。ちらほらと青い制服を着た生徒たちが見え始め、どの生徒達の会話の話題も雪が積もったことのようだった。

登校がてら、適当に人間観察をしていると、目の前の男子生徒が冷たいだろうに雪をひとすくいし、ぎゅっぎゅっ、と固めるともう一度雪をすくった。それもまた固めると、大小サイズの塊ができる。どうするつもりなのかと臨也は横目で男子生徒の行動を観察していると、前から淡いピンク色のマフラーを巻き、防寒具で身を固めている女子生徒が笑顔でこちらを見ていた。臨也が首を傾げていると、少し前を歩いていた男子生徒が走り出し、その女子生徒の隣まで行くと、仲良く肩を並べ歩きはじめたのだった。

男子生徒は握っていた雪の塊を見せつけ、その大小の塊をくっつける。できあがった形は雪だるだった。臨也が目を瞬かせると、男子生徒がどうだといわんばかりに笑って、彼女は冷たくなった彼の手をとり、握った。


「なに、あれ。」


特にその男子生徒とも女子生徒とも知り合いでも無かった臨也だが、ラブラブな風景を朝から見せつけられ、呆然と立ち尽くす。何故だか突き刺さるような風がなおさら肌を痛めつけた。寒い。
ここまで来て手袋をしてくるのを忘れてしまった事に気づく。寒い訳だ、とひとり納得していると、前にゆっくりと歩く見知った金髪が見えた。

未だ眠いのかふらふらと覚束ない足取り。なぜかその揺らぐ金髪に苛立ちを覚え、臨也は足元に広がる雪をひとすくい。ぎゅっぎゅっと固めると、近くに転がる小さな石に目がついた。にやり、と口元を歪ませその小石をつまみ上げると固めた雪の塊に埋め込んだ。
ふふふ、と笑って、凍って滑ってしまいそうな雪の道を走る。冷たい風を切って一心不乱に金髪目掛けて加速していった。


「死ね、シズちゃん!」


後ろから臨也は叫びながら全力で雪の玉を投げつける。少し溶けたその塊は、ばすっ! と静雄の頭に見事に命中し壊れた。ただの雪ならばまだしも、中に入れた小さな石が殺傷力を上げていた。そう、眠い眼を覚醒させるには十分な衝撃。静雄は軽い痛みに頭を抱えると、臨也は満足気に言った。


「おはようシズちゃん! 良い朝だね!」


振り返ると満面の笑み仁王立ちしている臨也に眠気など当に吹っ飛んだ静雄が青筋を浮かべ追いかけっこが始まるのは言うまでもない。


(別に甘い関係が羨ましかった訳じゃない! 死ねシズちゃん!)
(手前が死ねこのノミ蟲!)




(20110108)

拍手ネタ募集「石入り雪合戦」より

合戦してませんがね…!
臨也の理不尽な行動に振り回される静雄とか良いバカップルだと思います^///^


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