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11/1〜12/4の拍手お礼文でした^^


※来神


「休戦、しよう。」

11月。来週に迫った修学旅行を前に、臨也は静雄と向き合い約束を取り付けた。休戦。謂わば喧嘩をしない、という約束だった。聞いた静雄はあからさまに嫌そう――喧嘩を売ってくるのはいつも臨也からだからだ――な顔をしたが、俺は暴力が嫌いだ、と呟き約束を交わした。

そして、修学旅行当日。
行き先は毎年同じの沖縄だ。朝早くから空港に集まり、担任が出席を確認する。臨也、門田、新羅、静雄は3班として動く事になっている。

「にしても、本当に休戦してるんだ…。あの2人が静かなんて、まさに驚天動地だね。」
「そうだな。まあ、同じ班として助かる。」

2人は肩を並べながらも喧嘩をにならない静雄と臨也を見、感心していた。といっても2人が空港に着いてから一言も会話を交わしていない事が大きな要因だろう。臨也は眠たそうに瞼を擦っては欠伸を繰り返し、静雄はただぼんやりと突っ立っているだけだ。
担任が出席を確認しチケットを渡され、中へと通される。静雄の後を臨也が歩き、チケットを見た。

「ねえシズちゃん。」
「んだよ、」
「席どこ?」
「あ? そんなん…」

まさか、と静雄は手にあるチケットを確認する。順番にチケットを渡されたのだから、まさか。

「隣同士……」

印刷された数字に、静雄は青筋を浮かべずにはいられなかった。






「あれま、」

飛行機が空にたって数時間。一時は隣同士になった静雄と臨也が小さく口喧嘩を繰り広げた。前の席に座る新羅と門田は呆れ、門田は本を取りだし新羅は備え付けの音楽プレイヤーをつけた。だが気付けば静かになっている。新羅が後ろを覗きこめば、静雄と目が合った。だがその隣に座る臨也は――……。

「……どうにか、しろよ。これ。」

こてん、と頭を静雄の肩に寄せすやすやと穏やかな寝息をたてていた。静雄も無意識に小声になっている。静雄はちらりと臨也の表情を盗み見て、視線を泳がせ舌打ちを打つ。そんな静雄に新羅はニヤニヤと口元を緩ませた。

「起こせばいいじゃない。」
「………起こすとうるせえからいい、」

そうかい、と返すと静雄は窓枠に肘をつき外に視線を流す。

「黙ってりゃ悪くねえんだけどな、」

小さく小さく呟いた声に新羅は笑みを溢しながら、薄く開かれた瞳に良かったね、と口を動かした。


空の旅はまだまだ掛かる。その間ぐらいは、いいだろうと静雄も瞳を閉じた。

(……ずっと眠そうにしてたしな、)


どきどきと心臓がせわしなく脈打つのを感じながら、臨也は静雄に気づかれないように自身のワイシャツを握った。





(20101102)

11月は修学旅行!
沖縄だったよー、と皆様から反応がいただけて嬉しかったです^///^

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