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10/5〜11/1までの拍手お礼文でした^^

※来神時代


寒く、なってきた。
長かった残暑は漸く終わりを迎え、風は冷たく日射しも弱くなってきていた。
輝く白いワイシャツは姿を隠し、セーターや上着を着る者が増えてきている。
そろそろ屋上で昼食を食べるのもキツくなってくるかもしれないな、と門田は弁当のおかずを頬張りながら思った。

「寒くなってきたよねえ」

隣で新羅がハートに型どられた桜デンプンの乗った白米を口に運び、美味さを噛みしめながら情緒に浸って呟いた。
そうだな、と答えれば今度は前で胡座を掻いて勢いよくフォークをミールボールに突き刺す臨也が口を開いた。

「秋だねえ。スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋…色々あるけど」
「手前は食欲の秋にしろ。もっと食ってそのひょろい身体をどうにかするんだな」
「シズちゃんは読書の秋だね。語彙を増やした方が良い。あ、語彙の意味わかる?ボキャブラリー、だよ、」
「ンな事わかってんだよ喧嘩売ってんのか?あ゙?」
「やだなあ、それ以外に何に聞こえたの?」

はっ、と吐き捨てる臨也に、静雄は持っていた牛乳パックを握り潰していた。
そんな静雄を宥める前に2人が忘れているであろう行事を忠告してやる。

「食事も読書も良いが、まずは中間テストだな」


「あっ…」
「あ゙?」

そうだね、と頷く新羅に対して臨也と静雄は同時に間の抜けた声が溢れた。
少しの沈黙の後、ちらりと臨也と静雄は視線を流し、目が合った瞬間、それは睨み合いと化した。

「ンだよ臨也くん、忘れてたのか?」
「自分も忘れてたくせに良く言うよ…あっねえドタチン!ノート貸して!」
「ああ゙手前何言ってんだ!」
「シズちゃんには関係ないだろ!」


ぎゃいぎゃいと騒がしく言い争いを始める2人に門田は溜め息を溢しつつペットボトルのお茶を飲み干した。
臨也は弁当を半分も食べておらず、静雄も未だに開封すらされていない菓子パンが2つ。
昼休みもすでに残り少なくなっているのに気が付いていないのか、口喧嘩はエスカレートしていく。
黙々と弁当に箸を伸ばす新羅に2人をどうにかしてくれと頭を抱えるが、無理だよと笑顔で返された。
2人の間を取り合い、早く昼食をとる様に言うと舌打ちを溢しつつも漸く静かな時間が帰ってきたのだった。

「静雄はノート、ちゃんと板書してるのか?」
「シズちゃんは内容理解はしてないけどノートはとってる派だよ」
「手前は一言多いんだよ!」

門田はいい加減にしろ、と臨也の頭を軽く叩くと臨也は頭を押さえて少しむくれる。

「で、臨也はノートとってないんだな」
「…うん。だからさ貸してよドタチンー!」
「そのアダ名はやめろ。貸しても良いが、新羅のじゃダメなのか?」
「新羅はノートの至るところに愛の呟き書いてあってウザイ。」
「うるさいよ臨也。文句言うなよ、いつも貸してあげてるのに!」

非難の声を上げる新羅。
静雄はどこか面白くなさそうに顔をしかめ、空になった袋をくしゃりと潰した。
そんな静雄の態度が目についた門田はある提案を述べたのだった――…。



「静雄が臨也にノートを貸して、臨也はお返しに静雄の勉強を見てやればいいんじゃないか?」



「「…え?」」
(ちょドタチン!何言ってんの!)(これにて万事解決!素敵な提案だね!)(良いだろ、静雄)(……まあ、悪くねえ。…臨也の教え方が上手いならな)(…ちゃんの読める文字で書いてあるんだろうね?)


(2010105)


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