短編小説 | ナノ







「んっ、…ぁっ、」
「ああ、そうだ。手前もしてみっか?」
「なっ、なに…? やだっ!」

 まんぐり返しの状態で左手で両足を持ち上げたまま空いた右手で先ほど投げ捨てたコンドームの箱を手に取り静雄はニヤリと口角をあげた。
 嫌な予感がする、と思うより早くに静雄はコンドーム軽く起ち上がっていた臨也の性器に被せた。窮屈なゴムは、きゅ、と性器を締め付ける。挿入される側の臨也に避妊具をつけるというのはどういう事なのか、とパニックになる頭で必死に思考を巡らせていると、目の前の男は衝撃的な言葉を吐くのだった。

「どのぐらい溜まるか、試してみるか」

 大きな瞳が見開かれる。だが最低、死ね、と罵声が飛ぶことはなく、細められる瞳と緩む表情がそこにあった。
 ―――…変態。
 これから受ける快楽に背筋を震わせ、静雄に腕を伸ばしその頬に触れる。悪態をつきながらも嫌がっているのではなく、臨也はむしろ期待している事を静雄は知っている。変態はどっちだこのビッチ、と吐き捨てるように言うが臨也が怒り出す事は無かった。

 閉じられた秘部に唾液を染み込ませ、ひと舐めした指を挿入していく。その違和感になれてしまった穴はずぶずぶと呑み込んでしまった。すらりと長い静雄の人差し指が温かな肉壁を解すように円を描く。腸液が絡み滑りやすくなる指。出し入れを繰り返す度に臨也の嬌声が響いた。

「ぅあっ、あっ、…ひゃぁっ、ん、」
「臨也クンのイイところは、ここ、だろ?」
「は、ぁあっ! そこ、や、あっ!」

 第一印関節を曲げたところにあるしこりを擦り付ける。面白いように臨也は顔を赤くしながら壮大に喘いだ。体位的に逃げられない状況で、臨也はシーツを力強く握り締める事しかできない。
 指を増やしながら臨也を責め立てる静雄は心底楽しそうで、目頭に涙をためて嬌声を上げる臨也とは対照的に雄の匂いがする笑みを浮かべていた。
 増やした指で濡れた秘部を広げ静雄は顔を近づけ舌を伸ばすと唾液を中に流し込む。見たくはない場面にも関わらず、その瞬間は目を反らす事ができなかった。

「なに、いれ、ぁ、てんだ…!」
「濡らさないと後がツラいのは手前だろうが」
「だから、あのゴムは嫌だって、ふぁっ! あっ、言った、のに!」

 臨也は前戯が嫌いだった。静雄の長すぎるその行為に嫌気が差していたのだ。早くいれてと強請っても静雄は秘部を解す事に執着し、言葉通り臨也をぐちゃぐちゃにしてから漸く挿入し、激しく責め立てていく。気がつけば明日の朝になっている、というのはザラだった。
 それから臨也は潤滑ジェルがたっぷりとついているコンドームを愛用していた。厭きないようにと様々な匂いを用意して。

「ゃだぁっ、も、イクからあ! はやく、いれろよっ!」

 まんぐり返しの状態が続き曲げられている腰が悲鳴をあげ始めていた。一心不乱に臨也がそう叫ぶと入れていた指を引き抜き、その指は糸をひいて光った。
 一回抜いたはずの静雄の性器はすでに起ちあがり天を仰ぐ。自身の手のひらで支えながら秘部に宛がった。

「しずちゃ、ゴム! ゴムしてな、…ぁ、あああっ!」
「久しぶりのナマはいいだろ?」
「ひゃ、あっ、ア、…死んじゃ、う! も、死んじゃう!」

 一気に最奥部までにたっした熱く太い性器を感じた瞬間、臨也は精液をゴムの中に吐き出していた。身体を痙攣させ二度目の絶頂。だが静雄は律動を始め、うねる肉壁を突いた。絶頂を迎えた後に絶え間なく与えられる快楽。目の前がチカチカと点滅し、息をする事すら必死だった。
 体制を変えるかと思った臨也だったが静雄はまんぐり返しのままに挿入し突き上げる行為を止めない。赤黒い性器が自身の秘部に出し入れされている。見たくもない光景が目の前に広がっていた。

「おれ、イッたから、ぁ、もぅ、…イッた、からぁっ!」
「手前がいれた瞬間イッちまう早漏れでも、俺は、まだなんだよ!」
「ぁっ、はげし、…ひゃぁ、あ!」

 ガツガツと静雄は貪るように腰を打ち付けていく。頭を振りながらシーツを握り締め声をあげる臨也は艶やかという言葉が似合うものだった。
 突き上げられる度につけられたコンドームの中に溜まっていく液体。先端が膨らみ、自分がどれ程出したのが目でわかる。恥ずかしさと与えられる快感に腰が震え、臨也は声を上げる事以外成すすべがなかった。

「ほら、ちゃんと、見ろよ。手前の中、入ってる」
「言う、なぁ…!」

 ぐちゅぐちゅと音を立てるその場所を見たくはないが、視線が逸らせない。臨也は潤んだ瞳を細め見つめていた。静雄もまた見せつけるように一層持ち上げた足を折り、秘部を露にする。時おり腰を引き前立腺を刺激してやれば、柔らかな肉壁はきゅうきゅうと痛いぐらいの締め付けをした。
 ――…たまらねえ。
 乱れた臨也の姿に静雄はごくりと喉を鳴らす。瞳はぎらぎらと輝いていた。

「っ、…臨、也! だすぞ…!」
「も、はやく、あ、あ、はやくぅ、だしてッ! も、また俺も、イク――……っ、ひ、?!」

 ラストスパートだと言わん限りに腰を掴み最奥部に性器を押し込むとぶるりと震え、静雄は中に熱い精液をぶちまけた。そして臨也も精液を感じながら達する、といったところで静雄は臨也につけていたコンドームを突如として外したのだった。
 驚きながらも迫る絶頂を止める事はできない。自身の膨らんだ性器を目の前に絶頂を感じた。すると顔に降りかかる精液。それは静雄のものではなく、れっとした自分の出した精液で。

「セルフ顔射。見たかったんだよなァ」

 臨也は脱力感に襲われ静雄に変態だと罵る気力すら無い。外されたコンドームを見せつけられ、中にたまった精液に腰が震えた。
 ズルリと未だ芯をもつ性器を引き抜き静雄は息をつく。だが開けたコンドームの箱を手に取り新しいゴムを開けると、こう言った。

「まだ余ってるぜ、臨也クンよォ?」

 ちらちらとコンドームを振る静雄はニヤリと笑う。悪態をつくわけでも、拒絶の言葉を吐く訳でもなく臨也は口角をあげた。

 次はどんな事をされるのかと、身体が、疼く――……。



(20110616)

ゴム也。企画(PC向け)に参加させて頂きました!
最小から最後までひたすらにヤりまくる絶倫×ビッチなお話でした。
ありがとうございましたー!


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -