短編小説 | ナノ


※企画提出文
※ひたすらにエロ






「ん……ちゅ、ぅん」


 鼻に抜ける甘い声。角度をかえつつも臨也は口付けをやめようとしない。
 静雄の上唇に吸い付き、前歯をなぞる。少し開いた隙に静雄の舌をつつき、驚いたように目を見開かれるのを臨也は上目に見た。すかさずかぶり付くように唇を合わせると、くちゅくちゅとわざとらしく音を立てながら絡み付いた。


「ふふっ、相変わらずシズちゃんのキスは煙草味だねえ」
「うるせえ。つか手前のキスは長ぇんだよ」


 それが好きなくせに、と臨也は艶やかに笑う。くらりとするほどのその笑みに静雄はチッと舌打ちをすると、その薄い身体を真っ白なシーツが引かれたベッドの上に押し倒した。





 自宅兼事務所である臨也の新宿にあるマンションに静雄と臨也は居た。落ち着いた色合いで纏められている寝室。ひとりの男が使うには大きすぎるベッドがひとつあるその部屋で、臨也は押し倒され黒のVネックを脱がされていた。余裕を見せる臨也はくすくすと笑いながら両腕を上げて自ら脱ぎやすいようにと促すと、静雄も慣れた手つきで服を脱がしベッドの上に投げ捨てた。
 幾度となく本気の喧嘩をしてきたというのに、傷ひとつなくきめ細かな白い肌。するりと手の中でその肌が滑った。


「くすぐったいよ」
「気持ち悪いぐらい綺麗な肌だな」
「それって褒めてるの? 貶してるのかな?」
「褒めてる」


 ぺろりとその晒された首筋を舐めれば、臨也の口からひゃっ! と小さな悲鳴が洩れ、勝ち誇ったように口元を歪ませる静雄に臨也はむっと膨れ、その唇に噛みついた。静雄は負けじと舌を絡ませながら、薄い胸板に手を這わせぷつんと立ち上がった胸の突起を摘まむ。身体に電流が走ったかのように一気に衝撃が身体を巡り、臨也は甘い声を上げた。
 馬乗りのように臨也の上に跨る静雄は、抵抗を見せる臨也の動きを制限し、口づけをやめずに片手で臨也の顎を掴み片手で胸の突起の摘み、弾き、潰し始めた。


「ちょ、しず…! ひゃ、んんっ、…しずちゃ、!」
「んだよ、気持ちいいんだろ。淫乱な臨也くんはこんなとこでも感じちまうからな」
「そうしたのはシズちゃんだろ…!」



 静雄が突起を弄る度に臨也の背は弓なりに撓り、嬌声が上がる。じわじわと迫る快楽に身を捩り臨也はきつく目を閉じると未だ弄られない左の突起にも触れて欲しいと強請った。
 満足したように下唇を舐める静雄は臨也の腕をとると、引っ張り上げ驚きに目を瞬かせている間に臨也の身体を反転させる。背中から抱きかかえるようにして腰をしっかりと掴むと、バックルに手をかけ下着ごと臨也のズボンを引き下ろした。


「ちょっと、いきなりすぎなんじゃっ、ぅっ、ああっ!」
「これだと最高に気持ちいいだろ?」


 ゆっくりと立ち上がっていた臨也の性器を握りならが胸のそれを弄る静雄はそのまま露わになる臨也の左耳にそっと囁きかけ、耳たぶに吸い付いた。こんな時にはあの怪力は発揮される事はなく、絶妙な力加減で性器を上下に扱き溢れる先走りを馴染ませながら速度を速めていく。
 投げ出された足がシーツを蹴り波を作る。耳も、胸も、そして性器も犯され臨也はあられもない声を、欲望を抑える事なく吐き出していた。


「や、だぁっ、もっ…もう、焦らさなくていいから…!」
「なんだよ。ここはイかせてくれって言うとこだろ?」
「うる、さっ…! ぅあっ、ひゃあ! あっだめ、はげし、いっ! イく、からぁ!」


 ―――――…イっちまえよ。
 深く甘い声で囁かれればとろとろに溶かされた脳ではもう何も考える事はできなかった。ビクビクと身体を震わせ喉の晒し、臨也は仰け反ると白濁色のそれを吐き出していた。は、は、と絶え絶えの息で臨也は静雄の腕にしがみ付くと無理やり顎に手を添えられ横向きにキスを強いられた。
 絶たれる酸素に瞳に涙が溜まる。舌を吸われ、絶頂を味わった後のディープキスは残っていた理性をすべて食らいつくしてしまった。
 ようやく唇を離され臨也はシーツに埋もれる。うっすらと目を開けると、手についた精液を舐めとる静雄の姿が目に入った。変態、と臨也が言うと手前もな、と静雄は口角を上げて返す。ふふっ、を臨也が笑い、静雄がベッドサイドにおいてあるコンドームの箱に手を伸ばすのを横目に見ていた。ぱき、と新品のそれから一枚のコンドームを取り出すと、臨也が身を起こし、静雄の手からそのコンドームを奪っていた。


「あ、俺これ嫌だって言ったよね?」
「うっせえ。安かったんだよ」
「はあ、だから俺が買ってあげるって言ったのに」


 臨也は両手でそのゴムを伸ばすと、何か思いついたのか赤い目を細めた。ベッドの上で胡坐をかいていた静雄に伸し掛かり、バックルを外し始める。一瞬驚いた静雄だったが、特に気にしていないようにされるがままだった。手慣れた様子で静雄のベルトを外すと、見えるトランクスは少し盛り上がっていた。


「なあんだ。シズちゃんも反応してるんだねえ」
「生理現象だ」


 どうだか。と臨也は小さく鼻で笑うとトランクスの上から亀頭にそって舌を這わし、はむはむと甘噛みを繰り返した。股間に顔を埋める臨也は時おり静雄の反応を盗み見るように上目遣いをする。激しい行為ではなく、絶妙な力加減で加えられる快感に静雄は顔を歪めた。
 充分に静雄の反応を楽しんだ臨也は満足したのか唾液と静雄の先走りで濡れたトランクスを下げる。すると、ぴんっと反り起つものが露になった。
 赤い瞳が艶やかに染まる。臨也は下唇を舐め上げ持っていたゴムを口に加えると、赤黒い静雄の性器、亀頭の部分に被せ一気に口をすぼめながら根元まで進めた。


「〜ッ手前、いきなりすぎだろ!」
「あれ、まかさ今のだけでイきそうだった?」
「ンだよ、口で奉仕してくれんのかと思ったのによ」
「口でゴム付けてあげるのも興奮するくせに」


 透明に近いコンドームは極薄タイプで、しっかりと静雄の性器を形作り淡く色が透けて見える。つんつん、と性器をつつき反応を楽しむ臨也は、ふう、と息をかけたかと思うとゴムをつけた性器を口にふくんだ。  
 一気に奥まで咥えると性器の軸にし臨也は頭部を左右に動かしながら唇に絶妙な力を加え扱いていく。ひねりを加えて行われるその行為。静雄は湧く快楽に、は、と熱い息を洩らした。ゴム越しにも伝わる口腔粘膜の暖かさと柔らかさに茶色がかった静雄の瞳は貪欲に濡れている。指通りの良い黒髪をクシャリと撫でた。


(気持ちよさそうにしちゃってさ)


 上目遣いに静雄の様子を眺め、先ほどまでの悪態が嘘のようだと内心でほくそ笑む。ゴムを付けている事を忘れているのか静雄は臨也の頭を固定し、当たり前のように口の中に射精しようとしているかのようだった。顔射もさせないぞ、と口腔粘膜に性器を押し当て刺激していく。いざや、と低い声が名を呼んだ。


「ゴムつけたままフェラで射精、しちゃえば?」


 小馬鹿にしたように臨也がそう言えば、カッとなった静雄が声を上げる。だが間髪入れずに口をすぼめ、派手に音を立てながら吸い上げると、静雄の怒声は呻き声へと変化し、身体を硬直させたかと思うとコンドームの先には白の液体が溜まっていた。
 自身の唾液で汚れた口まわりを拭い臨也は微笑む。それは先にイかされた事への当て付けも含まれていた。
 すると静雄は上半身をあげて座り込む臨也を肩を押してそのままシーツへ埋めた。驚きにシズちゃん、と紡がれる口を唇で塞ぐとつけていたコンドームを綺麗に外し、口を結んで捨てる、のではなく臨也の顔を上で破いたのだった。


「ちょっ! ………最低、じゃないかな。シズちゃん」
「いい様じゃねえか」


 ぱちん、とゴムが破け中にたまっていた精液が顔に降りかかる。ドロリとしたその液体は頬、額を染めあげ口の端に流れ独特の苦味が口の中に広がった。
 上に覆い被さる静雄を退かす事もできずにかかった精液を乱雑に拭き取っていると、今度は静雄が下唇を舐めた。


「なに? シズちゃん興奮してるんだ?」
「生理現象だろ」


 数分前と変わらないやりとり。この変態野郎、と心の内で呟きながらもコイツと付き合ってる自分も相当だな、と自嘲的な笑みを溢した。


「なに笑ってんだ? 手前も充分興奮してんじゃねえの?」
「生理現象、だからさ。仕方ないよね」


 その言葉を合図に静雄は臨也の太ももの裏を持つと身体が折り曲がる程に持ち上げ、所謂まんぐり返しの格好にするとヒクつく秘部に舌を捩じ込んでいった。




(20110616)

携帯の容量越えなので区切ります。
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