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必要最低限のものを近くのコンビニで適当に寄せ集め、ガサガサと袋を揺らしながら重い足取りで自宅へと戻る。何度目かわからない溜め息をついて厚いドアを開けるとそこにはピンクのワイシャツに白いスーツを身に纏う男の姿があった。

「お帰りさん、臨也。」

玄関に仁王立ちするように居るこの男はこれまたピンクのラインの入ったヘッドフォンを付けていた。そして顔はあの池袋最強の男、平和島静雄と瓜二つなのだ。

あからさまに嫌そうな顔をして臨也はその男の横を素通りしていく。男は嫌な顔ひとつせず、むしろ笑顔でお土産はないのかと言ってきた。お土産もなにもコンビニに行くと言っただろと臨也は胸の中で愚痴るが、買ってきた袋をテーブルに置いてガサガサと探し始める。このうるさい男を黙らせるために買ってきたプリンを投げつけ、自身もソファーへ腰を落ち着かせると、その男もプリンを片手に隣に座ってきた。

「なに。」
「別に? いいだろ? 隣にすわるぐらいさ。」

緩い男の口元に苛立ちを感じギロリと睨みつける臨也だったが、は、と息を吐いてテレビのリモコンへと手を伸ばした。適当にチャンネルを回し好きな番組をただぼんやりと眺める。だが臨也の苛立ちは晴れなかった。隣に座る男のせいだ。ただ何も言わず、投げつけられたプリンも開ける事無く男の手の中におさまったままだ。見ているのかはわからないが確かに臨也とその男は、肩を並べテレビへと向かっていた。

「……ねえ、」
「…Psychedelic:02」
「は?」
「“君”とか“ねえ”とかじゃなくて、名前、あるんだよね。」
「だから何。」

「呼んでよ。」


好きなように呼んでいいからさ。男は笑って言う。名前なんてどうでもいいじゃないか。臨也が答えると、その男は臨也の名前を呼んだ。

「いざや。イザヤ。臨也。」
「なんなの、うっとうしい。」
「俺は臨也を名前で呼んでるのに臨也は俺の名前を呼ばない。はい。不公平。」
「…すごく面倒だね、君。」
「お、誉められた。」
「思考プログラムに異常が出てるね、診てあげようか。」


男の物言いに呆れたのか臨也は肩をわざとらしく竦めせた。どっかに行けと臨也は言うが男は動こうとはせずに、パシリ、と臨也の手を取った。引っ張るように男は臨也のとった手を引き、驚きの色に染まる瞳が男を捉える。


「こっち、見ろよ、」


今までとは明らかに違う口調に、臨也は息を飲んだ。ガラスのように透き通る瞳に見透かされ、臨也はただ目を見開く。

臨也、優しい声で囁かれドキリと胸が強く鼓動を打った。男に握られた手が熱い気さえする。離して。臨也が震えた声で小さく呟くが掴まれた手にはさらに力が加わるだけに終わる。

「臨也、」

あの平和島静雄と同じ顔なのに、態度も根本的な所は全く同じで、理解不能な言動や態度に振り回される。嫌いなタイプだったはずなのに。臨也は悔しそうに奥歯を噛む。だがまた名前を呼ばれ、鼻がつくほどに顔を近づけられたが臨也の口からはもう、拒否の言葉は紡がれなかった。

「…臨也、」
「バカじゃないの、」

苦し紛れの言葉を吐いた臨也の口はそっと男の唇に吸い込まれた。バカじゃないの、好きなんだよ。


あなたに夢中



(20101118)

デリック試し書き。試行錯誤なう。今回はチャラ男設定。

好きだけど嫌いなシズちゃんと同じ顔だから認めたくない臨也と取り敢えず臨也が好きなデリック。




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