短編小説ログ | ナノ


※死ネタ
※病んでる臨也。
※愛がありません。
※シリアス



ギチリ、あと少し力をいれるだけでこの首を折れる。
ねじ切ることだってできる。
殺せる、





露西亜寿司から少し離れた人気のない路地。
そこに池袋では知らない人は居ないと言われているほど恐れられている男が二人、居た。

暗い路地を一体化してしまうのではないかと思うほどに全身真っ黒な男、折原臨也。
逆に路地には合わない金色をもつ平和島静雄。
その二人だった。


「痛っ…」

臨也の印象的な赤い目が苦痛にゆがんだ。
一瞬の衝撃に意識が飛びそうになる。
静雄に胸倉を捕まれ、壁に押し付けられる、ただそれだけならば大したことはないだろう。
それを行う人間が“普通”の人間ならば。
静雄は見た目こそ(つねにバーテン服だが)普通だ。
恐れるべきは狂人的は“力”
自動販売機を持ち上げるなんてお手の物。
トラックに引かれようが少し怪我を負うぐらいの硬い皮膚。

化け物。その言葉がよく似合う人間だった。


「やだなあシズちゃん、死んじゃうよ。」
「殺す気でやってんだ、当りめえだろ。」


衝撃に咳き込みながらも余裕の表情を見せる臨也に、また殺意が湧き上がる。

「殺ス。」

ここでは誰も助けになんてこない。
警察だって気がつかない。

(サイモンも来ねえ)

サイモンが居ると面倒だった。
サイモンは静雄と臨也が乱闘をしていることろに駆けつけ乱闘をとめる。
臨也はいつもサイモンの乱入を図っていた。
だが今回は静雄もサイモンの乱入を考慮し、交戦していた大通りから途中で場所を移したのだ。

息を整えた臨也が胸倉をつかまれているというのに心底楽しそうに笑った。


「うわー、シズちゃんに犯されるー」


高揚をつけず臨也の口から吐き出されるその言葉にまた殺意が沸いた。

「臨也」
「っ、」

静雄の視線に息を呑んだ。
静雄は、本気だった。
胸倉にあった手は臨也の細く白い首に伸びる。

(あぁ、本気なんだ)

ここまできても臨也は冷静だった。
恐怖心は襲ってこない。
もしろ頭の中がクリアになっていくのがわかる。


「俺を殺す? シズちゃん。」
「あぁ、殺す。 もう逃がさねえよ。」


あはは シズちゃん って バカ みたい


臨也は抵抗することなく静雄の手を受け入れた。
乾いた笑いを浮かべると、案の定、静雄から何笑ってやがるなんて決まったセリフが降ってくる。


「また一人、居なくなる。」
「……あぁ?」
「シズちゃんに構ってくれる人が消える。次は誰かな? あの上司さん? それとも帝人くんたちかな? 弟くんも危ないかもね。新羅も首なしライダーも」


臨也の赤い目が静雄を捕らえた。
だが静雄が首を絞める力を弱めることはない。


「なにが、言いたい」
「バカなの? シズちゃん。 あぁシズちゃんはバカだった」
「へし折られてえのか」


殺意をもって言っているのにも関わらず、臨也は微動だにしない。
むしろ口元は緩んだまま。

あぁむかつく、むかつく、むかつく

少し力を入れれば殺せる。死ぬんだ、こいつは。


「俺に向かってるこの暴力は俺が死んだらどこに向かうのかな? 制御できない力なんて、暴力なんだよ。シズちゃんの中でこれからたまっていく苛立ちはどこで発散されるんだろうね。」

ーーーー…イライラすっから臨也のやつ殴り殺しに行くか。

静雄が無意識に言葉にしていたもの。

あいつになら俺の力を発揮しても誰にも迷惑にはならない。
いい標的だったんだ、こいつは。


(だが、)
「たまった苛立ちをトムさんたちに向けるなんざ、」
「ありえないって言い切れるの? 自分でも制御できないくせに。」


ドクンと高鳴った。
一瞬脳裏によぎった映像。
血溜まりにたたずむ、俺。
足元に転がる、知った顔のやつら。


「最後にはひとりぼっちだ。 あはは!楽しみだねえシズちゃん! 君しか居ない世界を見られないのはとても残念だ!」


両手を高々と上げて臨也は狂ったように笑い始めた。
あの赤い目はいつのまにか標的を変えていた。
見つめているのは、空。
赤い目とは正反対の蒼く澄み切った、そら。

「あぁでもシズちゃんしか居ない世界なんて、虫唾が走るね、気持ち悪い。」




―…俺は力を、込めた

He was left alone.





(これで俺もひとりぼっちだよ)

聞こえるはずのない声が、聞こえた気がした。


(20100205)

病んでる臨也が書きたかった…!
強すぎる力を持つシズちゃんと、恨みを買いまくってる臨也はひとりぼっちなんだろうなあ、と。
死ネタって大丈夫なんだろうか…?
ちょっくら不安だ;

サイト名はこんな二人からきてます、実は(笑)


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -