短編小説ログ | ナノ




「ねえシズちゃん。」
「あぁ?」
「花占いって知ってる?」

花占い。
花についている花弁を一枚一枚思いをこめてちぎり、最後にちぎった花弁に載せた思いが叶うというもの。
相手の思いや自分の考えをのせて花弁をちぎることも少なくない。

「好き、嫌い、好き…とかやるやつだろ」
「そうそう。さすがのシズちゃんでも知ってるか」
「ソファーごと投げ飛ばされたいか」
「丁重にお断りするよ」

臨也は笑いながら答えると、花瓶から一輪の白い花を取って花弁をちぎりはじめる。

「シズちゃんは俺の事が、嫌い…、」
「おい、こら、手前」

嫌い、好き、嫌い、好きと一枚ずつ花弁をちぎっていく。
その白いきれいな花の花弁が無くなるまで、あと少し。

「嫌い、…好き!」

最後の六枚目の花弁をちぎるときにのせた思いは“すき”

「うわー、シズちゃんそんなに俺の事、」
「当たり前な事いうんじゃねえ」


静雄のまっすぐな目線にどきりと胸が高鳴った。
かせ、と今度は静雄が花瓶から新しい花を抜きとる。
臨也は…と小声で言いながら、花弁をちぎっていく静雄。

「好き、嫌い、好き、嫌い、好き、きら、い…。」

最後の一枚は「嫌い」で終わったさっきと同じ白い花。
静雄はじとっとした目で臨也を見つめてくる。
そんな静雄に思わず、噴き出してしまった。

「あはは! 大丈夫! …おれも大好きだからさ」

それを聞いた静雄は「それこそ当り前だな」と満足したような笑みを浮かべた。

「ねえシズちゃん。」

知ってる?と言う臨也に今度は何だと聞くと臨也は最後の花を花瓶から抜き取り、香りをかいだ。

「花ことば、とかさ」
「んなもん俺が知ってるほうが怖いだろ」
「池袋最強の男が花ことばに詳しい…? 確かに気持ち悪い」

納得したように臨也なうなずき、嗅いでいた花を静雄に手渡した。



― 強いから美しい ―


(シズちゃんみたいな花だなあって思ったんだ)



(20100202)

花占いに使っているのは「姫ゆり」の設定。
姫ユリの花ことば「強いから美しい」

ユリの花弁は基本的に6枚なので、シズちゃんが好きから始めたせいで最後が嫌いなったんだよ!
臨也は花弁数を知っていたから嫌いから初めてるの。
彼はいつだって確信犯。
甘くなってるのかが相変わらず不安だ(笑)



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