短編小説ログ | ナノ



※サイ臨だったり静臨だったり津サイだったり


「臨也!しょうぶしよう!」

ザンッと効果音が聞こえるのではと思うぐらいだった。サイケは仕事が終わりパソコンを閉じ、目尻を押さえる臨也の前に立ち塞がった。

「……ごめん、今疲れてるんだよ、」

少しの間の後、臨也は呆れ口調で答える。だがサイケは諦めずに「しょうぶ!」と元気よく叫んだ。チラリとサイケを見れば手に握られているお菓子の箱。嫌な予感が脳裏を過るがサイケはにこにこと弾けんばかりの笑顔を溢す。渋々ながらに臨也は何?と聞くと、サイケは手に持っているお菓子の箱を目の前につき出した。

「ゲームしよう!」


スティック状のものにチョコレートのコーティングがされているお菓子を口にくわえる。そして逆からもう一人がくわえ、同時に食べていく。所謂、ポッキーゲームである。あからさまに嫌そうに顔をしかめる臨也はカレンダーを見る。11月11日。ああ、そう。臨也の口から溜め息が漏れたがサイケは相変わらずだ。

「いざや!んーっ!」
「んーって……まあいいか、1回だけね。」

机に身を乗りだしポッキーをくわえた口をつき出したサイケは、臨也の了承にぱあっと表情を変えヘッドフォンのコードが舞う。臨也は苦笑いだったが、そんなサイケの嬉しそうな顔を見ては仕方がない、と椅子から少し腰を浮かし、くわえられたポッキーへと近づく。

(意外と近いな……)

息がかかる訳ではないが、普通これ程までには近づかないだろうという距離。なぜか目を閉じて待っているサイケ。よし、とくわえるポッキーを口に含んだ。噛めばいいんだな、と考えた瞬間、ぱちりと閉じられていたサイケの瞳が開かれた。
え、と思う刹那、ポキポキッと気持ちのいい音が聞こえる。サイケがリズム良く口にくわえたポッキーを食べ始めた。うわ、とポッキーをくわえているために声を出す事ができない。むしろ落とすわけにはいかないと反射的にポッキーをくわえたまま硬直してしまう。だがサイケは止まらずポッキーを食べ続け、距離はどんどんと――…

「……っぅん!」
「いざやの!奪っちゃったー!」

キス、された。
ちゅーっと音が聞こえる程に勢いよく唇を奪われ、臨也は唇が離れた後も瞳を丸くしていた。サイケは臨也とちゅーをした!と何故か嬉しそうに笑い声をあげる。

「サイケ…っ!」

顔を集まる熱に気付き、臨也は立ち上がり声を上げそうになるが、ガチャリと扉の開かれる音に言葉を飲み込んだ。それは扉を開いたその男の姿に、息を飲んだからだ。こちらを見る茶色の瞳、金色の髪の毛がそこにあった。

「シズ、ちゃ、」
「つがる!」

臨也の顔がみるみると青ざめていく。サイケは津軽に飛び付くと、頭を撫でられ、静雄は部屋の中へと入り、臨也を見下ろした。

「なにサイケとキスしてんだよ手前、」
「見てたならわかるでしょ!不可抗く、っふぁ!」

冷や汗が背を伝うのがわかる。臨也は必死に誤解を解こうと顔をあげればそこには静雄の顔。顎を捕まれ貪るように唇に噛みつかれた。

「関係ねえよバカ、」
「マジで死ね!」

ごしごしと勢いよく口を拭う。臨也は顔を真っ赤にしながらも静雄を睨み付けたが誘ってんのかと耳元で囁かれ腹に目掛けて拳をめり込ませた。もちろん効力などないのだが。

「つがる!ポッキーゲームしよー!」
「ぽっきーげーむ?」
「しずおもやろー!」

「サイケ!いい加減にしろ!」

その後、ポッキーゲームをお菓子を食べながらキスもできるゲームだと勘違いしているサイケを叱り、暫くはお菓子はお預けになったそうな!



美味しいゲームをしましょうか!


(20101111)

うまうまポッキーの日!

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