短編小説ログ | ナノ




「臨也」
「なに」

「臨也」
「…なんだよ」

「呼んでみただけだ」
「意味わかんない」

喧嘩をした。いつもと同じの殺し合い。
臨也と静雄が出会って乱闘が起きなかった事はない。
それなのに。
今の二人の姿をみた奴は愕然とするだろう。
臨也が静雄の手に包帯を巻いている図。

こうなった訳は、臨也が振りかざしたナイフを静雄が素手で受け止めたことから始まった。

あの時、かなりの流血が起こった。
もちろん臨也のではない。
ナイフを受け止めた静雄の手から赤い赤い液体が流れ出していた。

内臓をえぐる勢いで刺してもいつもは5ミリしか刺さらない静雄の体。
今回は手のひらだったとしても、ここまで刺さるとは臨也自身思っていなかった。
ぐっとナイフを握る静雄に息を飲んだ事は忘れないだろう。

「おい」

静雄の声で我にかえると、静雄は臨也の頭を(血のついていない手で)ガシガシと撫でた。

「そんな顔すんなよ」

そんな顔ってなんだよと思いながら、臨也は自分の中で渦巻いている感情を押し殺した。

「…ごめ、ん。」

今にも消えてしまいそうな細い声で臨也はつぶやいた。

静雄の手にナイフが刺さったとき。
赤い血が目の前に広がった時。
怖くなったのだと静かに答えた。

臨也はうつむいたまま動かない。
行き場を失った静雄の手が再度頭をなでる。
ビクリと臨也の肩が震えたことが少し寂しく感じたが、それは臨也が静雄を怖がっているからではないとわかっている。

「手前が謝ることじゃねえよ。」
「うん、」

静雄は臨也のあごに指をからめ、優しくキスをおとす。
臨也は静雄の背に手をまわし、力強く抱きしめた。


大好き


(いなくならないで、)



(20100129)

切甘を目指してみた。
臨也は情緒不安定なイメージ。
いや、ちょっと子供っぽかったりするのも可愛いよねって話(^q^)
今回は露骨に「キス」って書いた。
やっぱりなんか恥ずかしい(笑)
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -