短編小説ログ | ナノ


※(雰囲気)軍人パラレル
※歴史や情勢等々とは一切関係ありません。








ガガガッと雑音が混ざり合う通信機。
砂吹雪が舞う古びた街に、軍服を着た一個小隊が居た。
街に民家人など1人も居なくなったこの街は、多くの銃声と爆音、男の唸り声で蔓延していた。

「おい、」

上着を肩に掛けている金髪の男が、誰も居ないこの街で、誰かに声を掛けた。
その声は銃声や爆音で掻き消されてしまったが、同時にガガガッと再度通信機が鳴った。

「何かな、シズちゃん」

通信機の向こうで、どこか楽しそうな声色で誰かが答えた。
否、誰かではない。
この隊の隊長である金髪の男、平和島静雄を"シズちゃん"という愛称で呼ぶ人間など、数少ない。

「おい、臨也」

――…折原臨也。
策士の天才と呼ばれ、敵の情報と味方の情報を駆使しあらゆる戦いでも勝利に納めると讃えられている青年。
臨也は街からそう遠くない場所に設置された本部より、隊長の静雄に策の通達を行っていた。

「手前の策とやら、どうなってやがる」
「どうゆう意味かなあ?なんの問題も無いと思うよ」
「早くしろ、無駄な死人出させてんじゃねえよ」
「せっかちだなあ…俺にばっかり頼ってて大丈夫なの?」
「……どうゆう意味だ」

――…さあね、
臨也は笑みを溢し、カツンと持ったチェス駒を盤に叩いた。黒のキング。

(さあどう動かしていこうか)

臨也は次々にチェス駒を手に取り、盤を戦場に見立て並べていく。
静雄は漏れる笑い声に舌を打ち、未だ轟音が止まないの戦場を前に目を伏せた。



「そのまま大通りを進んで」
「……このまま?」

暫く何の反応も無かった臨也が、指示を出した。
出撃時にシズちゃんは大通りを目指して、と言われて気にくわなかったが静雄は指示通りに動いてきた。
だが大通りは見晴らしもよく、建物も多い分、射殺されやすい。
そんな道を進めと臨也は言ったのだ。

「きっと地雷が埋まってるから、踏んできて」
「………手前、」
「大丈夫。シズちゃんじゃ死なない程度の爆発だよ」

きっとね、とまた臨也は笑いながら回線を切った。
そうされては静雄ができる行動は限られる。
指示を無視するか、実行するかだ。
隊の意見を全く聞こうとしないあの態度を静雄は毛嫌いしているが、臨也の指示はいつだって的確だった。

「……うっぜぇ…」

静雄は顔を歪めるが、2度目の舌打ちをし歩を進めた。
(射殺されたら臨也の野郎を呪い殺す)




一際大きな爆発が街を包み込み、本部はざわつきを見せた。
一体何が起きたのかと隊員がせわしなく走り周り、状況方向に努め始める。
臨也はそんな中、それは至極楽しそうな声をあげていた。

「あっはははは!シズちゃんってば本当に踏んだんだ!さっすが!」

臨也は冷静に席を腰を落ち着かせ、チェス駒を弄る。

「いいねえいいねえ!楽しくなってきた!取り敢えずまあ、あれだ」

クスクスと笑いながら臨也は黒のキングを手に取り、盤を叩いた。



「―…突撃。」





カツンッと黒のキングが盤の上を支配し、臨也は口元を歪ませた。







「痛ぇ……」

カチッと機械音がしたかと思った瞬間、足下に閃光が走り爆音に襲われた。
静雄の驚異的な程頑丈な身体だからこそできた地雷除去法。
だが全くダメージを受けていない訳でもない。
閃光を直視してしまった為に目を開けても視界がどうもおかしいのだ。
後で臨也を殴ろうと決意し、体勢を立て直す。

――…突撃だァア!!!
一喝するかのように濁った空に叫べば、後ろから信頼出来る仲間達が声を上げ繰り出した。

さらなる土煙に隊は包まれ、静雄自身も地を蹴る。


(まあ、でも、)
「俺は自信家は嫌いだが!」

敵陣に武器を一切持たず己の拳だけで敵を潰していく。
相手の銃口を握り潰し、胸ぐらを掴んで一気に間合いを詰める。

「あいつはまあ、」

顔をひきつらせている相手に口元を歪ませてやる。

「嫌いじゃねえなァ」

左頬目掛けて拳を走らせれば、武器など必要なかった。




行き先なんて知らない

(帰る場所なんてわからない)






「さあ、早く終わらそうよ。こんな不毛な戦いなんて、さ」

いつしか光る赤い目は、悲しさに溢れていた。


(20108016)

その場のノリと勢いで書いてしまった。
臨也さんのキャラクターを見つめ直したくて…。
最近乙女臨也になっていたので……><
嫌いだけど信頼はしてるそんな静臨。
カッコいい臨也さん難しいよー!

追記―…
ピクシブに似たようなお話があるとご報告を受けましたが作者は同一人物ではありません。
最近増えたパラレルですのでネタが被ってしまい…ない文才ですみません´`


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