短編小説ログ | ナノ




「何してるんだろ…」


寒空の下で


今日は暇だった。
いや仕事はあったけれど、そんな難しくない仕事だったから午前中に片付いた。
午後の暇な時間をどうしようか考えて、池袋をうろうろしてみる。

物足りない。

だってシズちゃんに遭遇しないのだ。
いつもなら声をかけて欲しくない時にだって(物を投げたり)声をかけてくるのに。
シズちゃんを良い感じにからかって帰ろうと思ってた。
それなのに。
“シズちゃんを探せ”状態。
行き着いたのが、ここ。

ぼろぼろアパート、シズちゃん宅。

表札には当たり前だけど“平和島”と書かれてる。
その文字の雑さに不覚にも笑ってしまった。

だが、ここまで来たというのに家の主は不在らしい。
気配が全くなかった。
始めは不法侵入をかましてシズちゃんのベッドにダイブしゴロゴロして寝てやろうと思った。
帰ってくるだろうシズちゃんの驚く顔を拝んでやろうと。

けど、なんとなく。
そう、なんとなくだ。

ドアノブを握った手を放す。
ドアに寄りかかり、ずるずると座り込んだ。
寒さに肩が震えたが、膝を抱えて丸くなる。

「何してるんだろ、」

本日二度目のため息をつき、俺はシズちゃんの帰りを待った。

(早く帰ってこい、自動喧嘩人形)





カツンカツンと足音が聞こえて、落ちかけた意識を呼び戻す。
足音が止まったかと思うと、ドサッという音が聞こえた。
頭をあげると、案の定シズちゃんで。
さっきの音はスーパーにでも行ってたのかな、買い物袋だった。
シズちゃんの顔は「なんで手前がここに居るんだ」って顔で。
(本当にシズちゃんってわかりやすいなあ)
でもいつも血管が切れそうなシズちゃんの顔が、驚きに染まってるのは新鮮だなあなんて思った。


「おかえり、シズちゃん」

「……おぅ」


スッと手を貸してくれるシズちゃんは、やっぱり優しいシズちゃんだった。



(20100126)

静←臨みたいになっちゃった\(^o^)/
うちの臨也くんはあまりデレてくれなくて困る。
家の前で臨也が丸くなってシズちゃんの帰りを待ってたら可愛いよねって話^^

これこそ山なし落ちなし意味なし☆


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