短編小説ログ | ナノ


マスター×歌人形パロ
大丈夫って方はれっつごー







「マスター、」
「もう、いいんだ…」


ぎゅっとマスターは俺を抱きしめる。
歌も歌えなくなった俺のことを。
マスターは俺のこと、俺の事を―――…






俺は歌が好きだった。マスターは俺の歌を聞いて笑ってくれた。


「シズちゃん。今度はどんな歌がいい?」


マスターはやわらかく笑って俺の頭を撫でた。
俺の声が好きだといってくれた。
俺の歌が好きだといってくれた。
だから俺はマスターのために歌った。
好きだといってくれたこの声で。
精一杯の「大好き」をこめて。


でも……
最近声がでなくなってきた。
日に日に声がでなくなってきた。
マスターがすきだといってくれた声が出なくなってきた。


「どうした?臨也」


マスター、マスター、マスター
声が、でないよ


「マス、ター」


汚い声。
雑音の混じる俺の汚い声。
こんな声でマスターの名前を呼びたくなんて無いのに。
マスターは目を見開いて、俺を抱きしめた。
歌えない俺なんて、もういらないね。
俺は笑うとマスターはまた頭をなでた。

俺はもう用なしだね


「んな事ねえよ…!」

「まダ、歌イタイ…」


マスターはもう歌わなくていいんだと言う。
もともと歌は得意じゃなくて、でもマスターは下手な歌だって聴いてくれて。

一生懸命練習した。マスターの笑顔が見たくて。
マスターのために歌いたくて。


「マダ、歌イタイ…、マダ、歌、エルヨ?」


声を出すだけで苦しかった。痛かった。
でもでもでも。
俺の歌を聴いてほしかった。
俺の「大好き」を伝えたかった。


俺の「大好き」はマスターに届いていますか



「もう、いいんだ臨也…大丈夫だ。大丈夫…俺も、大好きだから」


なんで、
なんで俺の記憶は消えてしまうのだろう。
すべて消える。
せっかくのマスターの気持ちも、俺の名前を呼ぶマスターの声も、俺の存在も。

歌いたい。最後に一度だけ…マスター……


「シズちゃ…ン、」


シズちゃんの事忘れないよ。
マスター、今までありがとう。

最後に一曲だけ聴いてくれる?
汚い声だけど、たくさんの大好きをこめるから。


「アリガトウ…、そして……」


『 サヨナラ 』






消えかかる

大好きな貴方へ



―――――…深刻なエラーが発生しました


(抱きしめるマスターの力が少し、痛かった)



(20100318)

需要が無いのは知ってます^^←
臨也に「マスター」って言わせたかった!
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -