短編小説ログ | ナノ



来神に転入が決まって、転入初日。

自分の座る席と他に二つ席が空いていた事を俺はハッキリと覚えている。



ある少年からみた



絶対に転入する学校を間違えた気がする。
そう思ったのは転入してから一日目。

転入初日から担任に、こんな時期に編入なんて珍しいだのなんだので理由とかを普通に話しながらクラスに向かってた。

クラスに入る瞬間に、申し訳ないねと言われた気がした。すげえ小声で。
なんの事だか聞く前にクラス内に通され自己紹介。
席は廊下側の一番はじっこ。
クラス全体を見渡せるいい席だと思った。
再度隣になったやつと挨拶をして(名前は新羅というそうだ)今日から始まるこの学校での生活に慣れようと頑張ってみることにした。

出席確認を担任が行っていく「折原と平和島は…居ない、か。欠席か?」「さっきまで居ましたよ」担任の言葉に、えっと、そう新羅がにこやかに答えてるのにも関わらず担任の顔は強ばった。なんか問題でもあんのか?

それから普通に授業が始まる。そこで俺はある共通点をみつけた。
教師陣は必ず「折原」と「平和島」って奴を気にかけてる。授業が始まるこどに居るのか居ないのかを必ず生徒に問う。そして答えるのはいつも新羅だ。
まさかと思うが“問題児”というやつなのだろか。「問題児って言葉は、臨也と静雄のためにあるのかもね」いやいや新羅。笑いながら言い事じゃないよな?
問題児が二人も居るクラスに来た俺はかなりなハズレくじを引いた気がする。あーもう初日からヤル気が無くなるなんて…。「まぁ、イヤな奴ではあるかな。良い意味でね。」もう日本語もわからなくなりそうだ。


問題が起きたのは昼休み。

新羅は用事があるからと席を外し、俺は一人で弁当を広げた。すると数人のクラスの男から一緒に食おうぜと誘われて笑顔で了承した。なんだクラスの雰囲気が悪い訳じゃないのか。何度目かわからない自己紹介を交えつつ弁当を平らげていく。「おい…校庭で静雄と臨也がまたなんかやってるらしいぞ…」は?静雄と臨也ってあの“問題児”だよな?一人の生徒に話を聞いてみるが関わらない方が身のためだと言われた。そりゃ相手は問題児だしなあ…。「気になるなら校庭、見てみろよ。こっからなら見えるはずだぜ?」それなりに興味はあった。問題児の姿とかさ。結構窓際には人だかりができてて俺も便乗して校庭をみた。え?は?「やべえだろ?」やべえってか何んだあれ。飛んでるのってさ…「サッカーゴール、だな」ガッシャァアンン「相変わらずすげえ音…静雄の奴…マジで怖え」平和島静雄の第一印象はヤバい奴、だった。あん時折原は肩で息して静雄から逃げてるだけだったから、何ともおもわなかったけど。

次の日登校時間よりかなり早く学校に着いてしまった。まあ学校内の探検しようと思ってたんだけどな。教室に向かってたら、扉が開いてた。もう誰か来てるのかと覗いてみたら、「やあ、おはよう」そこに居たのは折原臨也。あぁなんかヤバい?「そんな緊張しないでよ。」バレてるし…。はよ、とあいさつを返すとにっこりと笑った。なんか笑顔が完璧すぎて変な感じがする。そんな事言ったら何されるかわかんないから言わないけどな。「昨日、転入してきたんだよね?俺は折原臨也。よろしく」なんだか普通な態度に拍子抜け。問題児な訳じゃないのか?「俺、人が大好きなんだ」あーコイツ、ヤバい奴決定。…あれじゃあなんで平和島とケンカすんの?「シズちゃんは別。あれは人じゃないから」俺と臨也の出会いはそんな感じ。

ヤバい奴だとは思った。
思ったけれど、サッカーゴールを投げたり、笑顔で人が好きだと言わなければなんだか、普通、だとも思った。
二人は普通の学生だ。
平和島は金髪だし、折原の笑顔はなんだか好きじゃないが、それでも二人は普通なんじゃないかと思った。

転入して数日たって、クラスにも慣れ始めた頃。

二人は基本的にクラスには居ないことが多い。
平和島が居る時、折原は居ない。逆に折原が居る時は平和島は居なかった。
希に二人が揃うが、その時のクラスの雰囲気といったら…説明できない緊張感に包まれる。

仲が悪いのだ、と初めは思った。
二人共、相手が大嫌い。
そう思った。

朝のHRが終わった時、担任が困ったように頭を抱えていた。
なんだ?担任に話をきくと、今日の日直は平和島だそうだ。んで、この担任は担任なのにも関わらず平和島に声をかけられない、と。
ばっかみてえ。…平和島、今日お前日直だってさ。「あ?あぁサンキュ」ほら普通。

つかなんだその眠たそう、というかダルそうな反応は。
でも、折原が居ないと本当に温厚そうな奴、だよな…

…………って、あれ?

そこで、気づいた。

二人がケンカをしている時。
それはもう地獄絵図のようだが、その二人は決してクラス内では見せない顔だった。
例えていうならば、家族に見える笑顔と恋人に見せる笑顔。
そんな違い。
親しい者に見せる笑顔と、嫌いな者に見せる笑顔。
そんな違いだ。
二人はそんな風に見えた。
クラスでは見せない顔。
折原の完璧な笑顔だってケンカしてるときは消え去ってたし。

なあ新羅。「なにかな?」あの二人って本当に仲悪いのか?「…そんな事を言い出すのは、君と僕くらいだよ」


――…すっげえ楽しそうに見えるんだけどな、ケンカしてる二人。


平和島には、折原が。
折原には、平和島が「必要」な存在なんだ、と。



(20103008)

クラスに静雄と臨也が居たら良いよねって妄想。

読みにくくてごめんなさい!
少年A視点でした。

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