短編小説ログ | ナノ



「ねえシズちゃん、どれがいい?」

広げられた服の数々に静雄は声が出なかった。
そこに広げられている大量の服。
見える範囲で答えるならば、それは。



「なんだ、こりゃ…」
「見ればわかるだろ? メイド服に、チャイナドレスに花魁に、水着に体操ふ、」
「わかった、もういい」

目の前の光景は何かの冗談だと、静雄はこめかみを抑えUターン。
だがそんな行動を臨也が許すはずもなく、静雄は簡単に臨也に拘束された。

「逃げるなよシズちゃん。シズちゃんに選んで欲しいんだから」

身長差から臨也が静雄を上目遣いで見てしまうのは仕方のない事だ。
仕方のない事のはずなのに、どうしてこんなにドキドキするのか。
しかもなんだ「シズちゃんに選んで欲しいんだから」とは。
静雄はもんもんとするのを抑え、臨也を自分から引き剥がす。

「選ぶって何をだ」
「服。どれが似合うかな?」

着るのか、お前が…!
叫びだしそうな衝動を抑え、静雄は冷静を装った。
チラリと大量の服に視線を流し、あるだけの服を認識していく。
やはり、臨也に映えるのはメイド服だろう。
そう思った瞬間、真剣に考えてしまった自分を殴った。

「え、何、どしたの。」
「なんでもねえよ…!」

なんだかわからんがムカつく…!
静雄は拳を強く握りしめた。
相変わらずどれが良いかなあなんて能天気な声で色々な服を物色する臨也。
静雄は無言でメイド服に指差すと臨也はそのメイド服を手に取った。

「これがいいんだ?」
「あ、あぁ。良く似合、うと…」

何を言ってるんだ俺は、と全力で自己嫌悪に苛まれる。
「ふーん」と暫く臨也はメイド服を眺め、そして納得したかのように呟いた。

「わかった。じゃあ…」
「着る、のか。」
「え?」
「いや、だから、着るのかって…」
「あぁ、これ?」





「着ないよ?」




「―…は?」

静雄は多分、人生で初めてではないかと言っても過言ではないほどにアホらしい声だったに違いない。

「え、まさかシズちゃん、俺が着るとか思ったんだ? え、何それマジ? そんな訳ないじゃんあっははっ!」

臨也がこんなに笑うのは久々かもしれない。
腹を抑えてくの字になって笑う臨也。
そんなにもさっきの静雄の顔は間抜けていたのか。


「―〜っ!!!」

静雄は怒りよりも、自分が勝手に臨也が着るものだと思い込んだ事に恥ずかしくなった。
そして似合う、などと言ってしまったことに。



そんなの姿を考える



「じゃあいつか、シズちゃんのために着てあげるよ、ねっ!」

いつかやってくれるメイド臨也に期待してしまう静雄だったが、今は取り敢えず火照った顔をどうにかしようと、奮闘し続けた。


(20100208)

拍手お礼文予定だったけど、長すぎて保存できなかったオチ/(^q^)\
そして変態シズちゃんで大変申し訳ない…!
シズちゃんファンに殴られるのではないかとハラハラしてます^^←

なんて服選びしてたのかなんて知らない\(^o^)/←
コスプレとかいいなあ…←
メイド臨也ってとても良い!
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