短編小説ログ | ナノ


死ネタ
臨也病んでます
「死ね」という言葉乱用
原作4巻ネタバレ含





いつものように臨也を西口付近で見つけて近くにあったコンビニ備え付けのゴミ箱を投げつけてやった。

臨也はぶつかる寸前に飛んできたゴミ箱の存在に気づき間一髪で避けることに成功していた。
チ、と小さく舌打ちすると臨也はこちらに気づき、笑った。

「やあ、シズちゃん」




タイトル、し、



「弟くん、大人気だねえ! ニュースになっていたよ? 今度は映画の主演だそうだね!今度会ったときにでも言っておいてよ!おめでとうってさ」
「ノミ蟲の言葉なんざ聞かせたら、あいつに何が起こるかわかんねえからな」
「ほーんと、弟くんはよかったよねえ、こんな兄と似なくてさ」


ケラケラと笑う臨也に静雄は額に血管を浮き上がらせていく。
人の言葉も聴いていないだろう素振り。
あぁ、殴りてえ。
自然と拳に力がはいってしまう。


「弟くんも大変だろうねえ、こんなバケモノみたいなお兄ちゃんが居ると、さ!」

臨也の言葉に耐えかねた静雄は近くにある標識に手を沿え握る。
ただそれだけでぐにゃりと曲がる標識。
ぶちりと標識をねじ切り、ぶんと一振り。
近くに居た人達は小さく悲鳴をあげ逃げだしていく。

「手前よぉ…。」

サングラスを胸にしまいながら、臨也との距離を縮めていく。
臨也もコートの裾からナイフを出し、構える。


「幽に手ぇだしたらただじゃおかねえからなあ!!臨也ァア!!!!」


その叫びと同時に3〜4mあるだろう標識を横になぎ払う。
タイミングを計って上へ飛び臨也は攻撃をしのぐが、遠心力ですぐには攻撃できないであろうと踏んでいたのも束の間、静雄の馬鹿力で無理やり軌道を変え、すぐに2撃目がとんできた。

「馬鹿力が…!」

臨也は舌打ちをしながら、ナイフを投げる。
刺さらないことなど百も承知だった。
刺さらなくとも数秒の間だけても隙ができる、それがバケモノ相手だとしても。
臨也の予想通りに静雄は顔めがけて飛んできたナイフに一瞬気をとられる。
その一瞬で臨也は再度後ろに飛躍し静雄との距離をとった。

「ちょろちょろ逃げてんじゃ、」






「あぁ、むかつく。」





声が、響いた。

それは確かに臨也のものだったが、先ほどまでの他人をバカにしたような声ではなく。
とても冷たい声だった。


「弟くん使えばシズちゃんは死んでくれるのかよ。今まで他人使ってもシズちゃんは死ななかったじゃないかよ! あぁむかつく!死ねよ! どうやったら死ぬんだよ!! 死ね! 死ね!!」


握っていたナイフを隣にあった自動販売機に突き刺す。
同時にバリンッという大きな音は広がるが、臨也は目もくれず何度も何度もナイフを突き立てた。


「スタンガンでも死なない!銃で撃たれたって死なない!トラックに轢かれたって死なない!」


ナイフを突き立てる手が真っ赤に染まっていく。
割った自動販売機のガラスで手を切ったのだろう。
出血がひどい。


「どうやったら、シズちゃんは死ぬんだよ…!」

「臨也…?」


臨也のこんな異常な行動は静雄自身初めて目にする光景だった。
確かに臨也は5秒後には考えが変わり、「飽きちゃったから、またね」なんて事はよくあった。
だが今回はどうしたものだろうか。
これは狂気に込まれている、というより、静雄には子供が必死に何かを訴えているようにしか見えなかった。
何度も何度もナイフを突き立てようとする腕をとり、静雄は臨也を静かに抱きしめる。


「どうしたんだよ、手前」
「どうもしないよ、シズちゃんがどうしたら死ぬのか知りたい、ただそれだけだ。」


今ここで全力で刺したら死ぬ?なんて聞いてくる。
だが無抵抗で静雄に抱きしめられ続ける臨也はなんだか小さく思えた。
身長がどうこうという訳ではない。
こいつはこんなに小さく、細かっただろうか。
これ以上力を加えたら、折れてしまうのではないかという不安にかられる。
そんなんじゃ死なねえよと答えると、臨也は手を静雄の後ろに回し、ナイフを握った。
そのまま静雄の背中を一閃するも、まったく歯が立たない。
すると臨也は本当だと納得したように腕のなかでつぶやいた。


「シズちゃんは死ぬの?」
「そりゃ死ぬだろうな。」
「俺は、死が怖いよ。死んだらそれは消えるってことだから。存在がなくなるんだ。俺はいつ死んでもおかしくない。恨みなんて数え切れないぐらいあるし、そんな中で俺は生きてる。病気で死ぬかもしれないし、轢かれて死ぬかもしれないね。」
「あぁ。」
「結局人が行き着く場所は死だ。それが早くくるか、遅く来るか。ただ、それだけ。――……ねえ、シズちゃん」


カランとナイフが地に落ちる音がした。
背中にまわされていた腕が、静雄の背に絡みついた。
痛いであろう手にもくれず、臨也は力強く静雄を抱きしめる。


臨也の肩が、震えていた。


泣いているかはわからない。
顔を鎮めていて、表情を見ることができないからだ。

「臨、也?」
「……、」


腕の中で小さくなって震えているコイツをどうすればいいのか、静雄にはわからなかった。
優しく声をかけてみるが、俯いたままで反応はない。

「臨、」






「死にたく、ないなあ」

それがあいつの最期の言葉。


余命を宣告されてから

数日のできごとだった。



(20100209)

余命を宣告された臨也。

自分はこんなにも簡単に死ぬのに、シズちゃんはどうして死なないのかイライラがたまってしまった臨也の図。
シズちゃんが死ぬ方法を知って、安心して逝きたかった臨也さん。
そして自分が消えてしまうことを怖れてしまった臨也さんなのでした。
このぐらい病んでる臨也がすき←

でもはじめに考えてた話とはまったく別ものになってしまったな…。
暗い話がすきなんだよなあ……



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