短編小説ログ | ナノ




「あ、」

声をあげたのは狩沢だった。


まさかの二人に
の予感



「どうしたんすか狩沢さん。」

遊馬崎は突然歩を止めた狩沢に声をかけた。
狩沢が見る方向に自分も視線を送ると、そこには

「イザイザが居るー」

関わってはいけない男、折原臨也が居た。
新宿を根城にする情報屋だが、最近頻繁に池袋に来ているようだった。
臨也が池袋に来るとろくな事がない。
臨也が関わる仕事は基本的にどす黒い仕事だという事、あとは奴が来て暴れに暴れるという事。

「お! 静雄も居る!」

狩沢は楽しそうに声をあげ、二人に気づかれないギリギリのラインまで近づこうとする。
そんな狩沢の姿に遊馬崎は慌てて肩を掴んだ。

「ちょ! 待つっす狩沢さん! 死ぬっす! さすがに死ぬっす!!」

静雄と臨也が顔を合わせれば乱闘が始まる。
静雄は自動販売機を投げつけ、臨也はナイフで斬りつけてくる。
乱闘というより、殺し合いと言ったほうが合っているのかもしれない。
二人を知ってる池袋の人間ならば、二人を見た瞬間、全速力でその場を去る。
それが一番安全かつ迅速な対応だ。
それを無視し狩沢はむしろ自ら乱闘の最前線に行こうなどと。
自殺行為でしかない。

「大丈夫だよ、ゆまっち〜!」

どこからそんな自信が沸いてくるのか、全くわからないが狩沢はさぞかし楽しそうに近づいていく。
「こんなとこで死にたくないっすよぉ…」遊馬崎の声など、全く届いていないように。





「な、なあぁああぁあ!!」

静雄と臨也を見つけてから数分後、狩沢が声を荒上げた。
二人を観察する狩沢と同罪と思われなくないために遊馬崎は狩沢の近くにはいるものの二人を観察することはしなかった。
そのため狩沢の声に肩が跳ねるほどに驚く。

「ど、どうしたんすか!?」

何事かと遊馬崎は狩沢に問うが、狩沢は肩を震わせているだけで何も答えない。
ふと二人の方に視線を向けると、


「………見てない、」
「ゆまっち。」
「何も見てないっす。」
「見たよね、ゆまっち。」
「いえ、何も見てないっす。」

ぶんぶんと頭を振る遊馬崎と、そんな遊馬崎の肩をがっしりと掴む狩沢。
狩沢の肩は相変わらず震えていた。

(いやいやいや、そんな訳無いっす。見間違い、そう見間違いっす)

ただただ今見た光景を否定する。
だがそんな遊馬崎の努力も虚しく、狩沢の手によって現実味が増す。

「ねえ、ゆまっち。」
「何すか、狩沢さん。」
「……かなあ…?」
「へ?」

聞き取れなかった、と言おうとした瞬間、両肩をがしりと掴まれ揺さぶられる。
狩沢のキラキラした笑顔と共に。

「シズイザかなあ! イザシズかなあ! 私的にどっちもアリだと思うんだけど!!」
「そんなの笑顔で聞かないでくださいっす!」


そして狩沢は知らなかった。
遊馬崎と会話しているこの時、この瞬間に、二人は甘いキスを交わしていた事を。



(20100206)

ゆまっちの口調が曖昧なやあ…;

隠れてイチャイチャしてたとこを目撃された静臨。
二人が見たのは無駄に近づいて話す静臨。
「好きだ、臨也」「……俺も」とか会話も聞こえてたらいいね狩沢さん!←


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