しあわせになれるはず

石田軍が見事天下統一を成し遂げたその時、日ノ本は新たな天下人の誕生に喜び沸いていた。
その理由は主に石田軍が副将、大谷刑部吉継によるものが大きい。彼の手腕により治められた土地は平等で方正なだけでなく、土壌が肥え実り豊かになるとまで言われる有り様なのである。

更にその上に立つ三成の方も、秀吉より受け継いだダイナミック太閤検地ならぬウルトラソニック治水術で、無銘刀をビシバシと振り回し、堀を池を堤防を、一瞬の内に造り上げ、河川の氾濫や干ばつに悩む民草から絶大な支持を集めていた。
お陰で統一事業の折に倒した武将達も、殆どが二人の私利私欲に走らぬ名統治に異を唱える事無く大人しく付き従っている。

「…何ゆえこうなった。」

不幸よ降れと祈る吉継と、秀吉の声が聞こえぬと泣く三成は、確かに不幸であった筈なのに。
平和に国を治め、民に慕われ、愛する人が傍に居る。

不幸って何だったっけと吉継が頭を抱えてしまうのも、きっと仕方の無い事なのだ。