(まだ降らぬか。)
探し求めているものは簡単に手に入りそうにも無いが、だからこそ手に入れた時の喜びはひとしおなのであろうと、その時を夢想して薄い胸を躍らせた。

星空天蓋

好ましいものが同時にやって来る、それ自体は確かに喜ばしいのだが、一体何故こうなったのであろうか。
満天の星空を背景に、白い頬を仄かに染めた三成が吉継の視界を埋め尽くした。
縁側で押し倒される格好になった吉継は慌てて腕を突っぱねたが、元より非力な身体は優位を取った三成を押し返せる訳も無く、あれよという間に包帯を解かれ簡単に地へと縫い付けられる。

「やれ三成、何のつもりよ。」
「貴様の好きな星空ではないか。空が見たいと言うのなら、こうするしかあるまい。」
懐いてきた三成を星が見えぬとあしらったのは確かに自分ではあるが、よもやこのような行動に出るとは思ってもいなかった。
それならいっそ、腕に抱えて閨にでも連れていってくれた方がと思いはしたが、流石にそれを口にする気にはなれない。

「それとこれとは話が別よ、ベツ。」
結局、いつものように口先で軽くいなして退けようとしたのだが、揺れる腕はあえなく絡め取られて銀色の髪が痩身の上で舞った。

「…三成。」
「拒否は認めない。今すぐ私のものになれ。」
そう言われてしまえばもう吉継にはあい分かったと答える以外に道は無く、諦めたように瞼を閉じて自ら二人の間に入り込む布に手をかけた。