アルマゲドン

「Sit!mother fuck'n」
政宗が吼えた先に居たのは、西軍の面々。
幸村だけに会いに来るつもりだったのに、とんだドジを踏んだと彼は盛大に舌打ちをした。

対する幸村達は、敵軍の将がやって来たと言うのに攻撃の構えを見せるでも無く、ただただ不思議そうな顔をして政宗を眺めている。三成はそもそも政宗が誰なのかすら解ってはいない。

「あれは南蛮語ですね。」
その静寂を破ったのは宗麟であった。彼は敬愛するザビーの母国語が久々に聞けたという事に、喜びを隠そうともせず声を上げている。
「何を言っているか分かるのでござるか?」
幸村が驚いたように目を開いて訪ねると、宗麟は当然ですと笑ってぴんと人差し指を立てた。

「先ほど彼が言ったmother fuckn'の説明を致しましょう。これは二つの言葉から出来ていて、motherは母親、fuckn'は性交…いえもう少し乱暴ですね。手篭めにするの方が近いでしょうか。」
ははおや…と誰かが呟く音と共に、皆の視線が一箇所に集まる。見詰められた吉継だけは我は母では無いぞとでも言いたげであったが、生憎それを言ったところで誰も取り合わないであろう事も解っていた。
「つまり、訳すると『お前は母親を犯した。』になるんですよ。」
えっへん、と胸を張ってそう纏めた宗麟の言葉が終わるや否や、今度は三成が政宗に向かって吼えたてる。

「ふざけるな合意だ!!」
「そう言う意味じゃねぇよ!!」
そもそもお前等そう言う関係なのかよと頭を抱えた政宗は決して悪くない。かもしれない。
西軍内ではただ一人吉継だけが居たたまれない風に顔を伏せていた。




おすわり!