噛み癖

唇をぴったりと重ねているようで、しかしその隙間にはいつもかさついた布が三成の邪魔をしていた。
皮膚の薄皮に隔てられる事すら煩わしく思っているくらいであるのに、その上更にこの包帯である。もっと深く、もっと濃厚に触れ合いたいと何時も思っているのに、三成の恋人は簡単にそれを赦してくれない。

噛みついて吸い付いて舐めとって、散々に弄り倒して漸く覗いた皮膚の甘さは、けれどもそれだけでは満足出来ず。沼の深みに嵌まるような調子で心の奥底にある淀みを掻き立てた。

「ヒ、ヒ。」
その時漏らされた小さな笑い声が気に障ったので、今日はきっと優しくしてやれないなと思いながら、三成は布に阻まれた皮膚をそっと撫で上げた。