かなで




あいつは、いつもシンばかりを見ていた。


俺がどんなに優しくしようと、
厳しいシンについていく。



あいつが大人になるにつれて
綺麗になって、

今までみたく妹に見えなくなった。




だけど、
前に踏み出せなくて、




あいつの手を引いて、あいつの隣を歩くのは
俺の役目だとずっと思ってたのにな


今のあいつは、しっかりとシンの手を握っている。





俺じゃダメ?
シンじゃなきゃ、ダメ?






今、白いドレスを着たお前は
そんなこと考えることなんてないんだろうな。





なあ、お前は今幸せ?






これからも、幸せ?








「なあ、」

「どうしたの?トーマ」




綺麗だ、好きだ、愛してる



「…幸せになるんだぞ?」

「ふふっ、こんな時にまで、トーマはお兄ちゃんみたいだね」

「当たり前だろ?…シンなら心配はないか…。…ほら、時間だ」

「うん!」







花嫁の手をとって、新郎の所へエスコートするのは俺で、

それはとても喜ばしいことで







「シン」

「ありがとな、トーマ」

「ああ、」





シンの前まで行くと、こいつは簡単に俺の腕からすり抜けていく。






去ろうとするその細い手を握りしめて、
引き寄せて、このまま奪い去ってしまいたい。

俺のそばにいてほしい。





その願いはかなわないけど、







「幸せに、なれよ…2人とも」




俺の心は暖かかった、





かなで




スキマスイッチ聴きながら書きました!
この曲マジでトーマヽ(;▽;)ノ








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bkm