それは、
私がまだ、10歳くらいのころ。
おとなりの来栖さん宅に、
可愛い双子の赤ちゃんが産まれた。
2人とも男の子。
2人ともよく似ていて、
とても可愛かった。
「わぁ、私、赤ちゃん真近で見たの初めてかも…」
そういうと、来栖さんの奥さんは、
ニッコリ笑った。
「ふふ、愁ちゃんも抱っこしてみる?」
「え…いいの?」
「もちろんよ」
そういって、赤ちゃんを差し出され、
そっと抱き上げる。
「…可愛い…あったかいね、」
「そっちは翔よ。こっちは薫。」
「翔くんに、薫くん。へへ、私が初めて触った赤ちゃんは翔くんだね!」
「さて、どんな大人になるんだか。」
そういって、来栖さんの奥さんは
薫を優しく抱き上げた。
やっぱりお母さん。
とっても優しい笑顔。
「んあぁ…」
私の腕の中の翔くんが、
モゾモゾと動いた。
「ど、どうしたのっ?」
「むぅぁ…」
ぎゅっ
「わっ、」
「あら?ふふっ、翔ったら。」
翔くんは、
私の腕の袖を掴んで離さない。
「愁ちゃんが気に入ったみたいね!」
「うぅーあーっ」
「ほんとに、可愛いな…」
抱き上げる喜び
暖かくて、優しくて
安心する
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