レンはGが好きだ

それは周知の事実で
おそらくGも鈍くはないから
知っているんだろう。




でもGには恋人がいる。

それは俺しか知らない
廻りには知られることのない事実。




そして俺はレンが好きだ

それはG以外の廻りの皆は知らない
俺だけの、俺たちだけの秘密だ。






皮肉なことに、俺はたびたび
レンから相談を受ける。

もちろん、Gについてだ




「Gは何が好きなのかしら!」

「さあ」

「Gは私の事どう思ってるのかな」

「さあ」

「ねえ、ちゃんと聞いてるの?」

「さあ」




俺の返答に飽きれたのか、
書斎からため息をついて出ていく。


ため息をつきたいのはこっちの方だ

まったく、なぜ好きな女から恋愛相談など受けなければならないのか



俺とレンの関係は幼馴染、というよりも兄弟のような関係だ。

小さいころから側にいた。
だから、彼女のなかでは俺が一番だとばかり思っていたのだが、




「はあ、情けないな。」






少し外の空気を吸おう


庭に出て深呼吸を一つすると、
ひっくひっくと草むらのほうから音がする



誰かいるのかと思いのぞくと
そこではレンが縮こまって泣いていた



「な?!レン?!なんで泣いているんだ!?」

「うっ、ジョット・・・!!」

「ちょっ」




こちらに気づいた彼女は俺の胸に飛び込んできた

嬉しいけどm嬉しがってはいけない
複雑な気分だ・・・

逸る気持ちを抑えてまずは
話を聞くことにした




「どうしたんだ?」


聞くと、彼女は肩を震わせながら
力なく話し始めた




「Gには、恋人がいたんだわ・・・」




なんだそんなことかと思ったが、
彼女にとっては最悪の事実であろう




「G、恋人がいるなんて言ってなかった・・・ジョットは、知ってたのね?」

「あ・・・ああ・・・」



口を濁らせて受け答えると、
彼女は少しむすっとしてまた涙いっぱいの目で俺を見る


レンには悪いが・・・すごくかわいい・・・






「わたしね、本当にGが好きだったの。・・・ううん、好きなの・・・」

「Gじゃなければだめなのか?」

「え?」



泣いている彼女を見ていたらそんなことを口走っていた。
今更後悔しても後の祭りだ




「G以外、本当に見ていないんだな、お前は・・・」

「?ジョット?意味が分からないんだけど・・・」

「・・・レン」




ギュッ、





震えている小さい方を抱きしめると
びっくりしたのか少し跳ね上がった

それが何故か嬉しくて、
また強く抱きしめた。

困惑した彼女は俺の背中を軽くたたきながら、
どうしたの?と聞いてくる。
ああ、ほんとうに、レンは・・・





「好きだ」

「?」

「俺はずっと昔からレンが好きなんだ」

「・・・えっ?」

「気づかなかっただろ?お前がGを好きなように俺もお前が好きなんだ」

「う、う、嘘だあ」

「残念ながら、ほんとだよ」




すると彼女は顔を真っ赤にして、
告白なんて初めてだと悶えた。
でもすぐ、かなしいかおをしてこう言った



「でも、私は、Gが好き、」


「すぐに恋人になってくれとは言わないし、好きになってくれなんて言わないよ」



うつむいた彼女の頬を包んで流れていた涙をぬぐった



「お前がGを好きでいてもかまわない。でも、俺も、お前を好きでいて構わないか?」



「・・・ば、ばか・・・!」




照れたのか、怒ったのかわからないけど、
レンは顔を真っ赤にして、その場から走り去った。




少しは、期待してもいいよな、レン










END