After you.





ボンゴレファミリーは有名で、
残虐で、血も涙もないファミリーだ。





そう私のファミリーでは話していた。






実際、マフィアなんてどこも残虐なのだから、
私たちに違いなんてない。


そんな私たちの中でも話題に上がるのだから、
さぞかしひどいファミリーなのだろう。







私が今のファミリー、ローザファミリーに入ったのは
5歳の時だった。父親に連れられ、
母の遺影とともにこのファミリーに入ったらしい。


母は、私が生まれてすぐに、敵対ファミリーに
殺されてしまったと父は言っていた。


そんな私たちを拾ってくれたのが
ローザファミリーだったらしい。


父は、私が10歳のころ任務で
死んでしまったのだとボスに聞かされた。
3代目ボスも、父と共にこの世を去った。







それから、私は父の仕事を継ぐように
すくすくとマフィアへと成長していった。
物心ついた時から、マフィアにかかわっていたのだ。




町の人に、「マフィアなんてやめなさい」と言われたことがあるけれど、
私を救ったのはマフィアで、育ったのもマフィア。
もう行くあてなんて、この世界以外はあり得ないのだ。









そして今に至る。


私は現在20歳。
さっき20歳になったばかりだ。

20になったばかりの私は、たった今初めて人を殺した。



任務だった。



手のひらは赤く染まり、
頬やスーツには相手のものであろう血が
おびただしく降りかかっていた。





「ユウ、終わったのか?」




声をかけたのは4代目ボス。

4代目ボスは、私より6つ上。
小さいころから、まるで兄のように慕っていた。


彼もまた、私を妹のように
可愛がってくれた。



「うん、終わった」

「どうだ?初めて人を殺めた感想は」

「はあ、そうやってまたボスは不謹慎なことを聞く。…人間は、あっけないね」

「俺はいつになっても重く感じるよ」

「ボスが?」




そう問うと、ボスはポケットからハンカチを出して自分のピストルに
ついた血をふきながら笑った。



「お前にもいつか分かるさ。さあ、帰ろう」

「うん」






そういってボスの後ろをついていく。



ボスが入口の部下に合図をすると、部下たちは
私たちが今いた場所を燃やした。




燃える屋敷をぼーっと見ていたら、
ボスや、ボスの部下に呼ばれて振り返った。






「ユウ、誕生日おめでとう」

「おめでとう」

「大きくなったなあ」






後ろには燃え盛る敵の屋敷、
目の前には血だらけのファミリー達。

滑稽だけれど、私には





「ありがとうございます・・・!」






涙を流すほどに、嬉しかった。






       【After you.】
ついていきます。どこまでも。









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