ガキィィイイイン!!
刃が交わる音が耳を劈く。
攘夷の奴らも、腕をあげてきた。
一筋縄ではいかない。
敵が散り始め、
周囲に危険が恐れられた。
俺たちは、散り、
敵を手分けして斬ることになった。
畜生、逃げ足の早い。
そのまま、全速力で攘夷の奴を追いかける。
ふと攘夷の前方に、若い女が立っていた。
俺は慌てて攘夷に斬りかかり、
間一髪のところで女を救うことができた。
「わりい…巻き込んじまったな…」
「い…いえ!ありがとうございました!」
「…っ!」
そういってそそくさと走り去った彼女の後ろ姿は、
あいつにどこか似ていて、
こんなときまで、愛おしいと考えてしまう自分に嫌気がさした。
ありがとう
その言葉は、俺の、あいつの、好きな言葉で。
俺は背後から近づく敵に、
気づくことができなかった。